中学の時、近所に住んでいた高校生のお兄ちゃんがいました。日頃から良く
可愛がってくれていましたが、そのお兄ちゃんが、
「お前のお母ちゃん綺麗だよな、今度紹介してくれよ。」
と頼まれ、母が家に居る時、そのお兄ちゃんを家に連れて行きました。
そして、母にお兄ちゃんを紹介しました。
3人で話をしている内に、次第に二人も打ち解けて来ました。
その内、お兄ちゃんが陰に私を呼ぶと、
「悪いけど、ちょっと用事頼まれてくれないかな?」
そう言ってお兄ちゃんに買い物を頼まれました。
「急ぐこと無いからな・・。」
私は母に、
「チョット買い物頼まれたから・・出て来るね。」
そう告げると、母が怪訝な感じで、
「すぐ戻るんでしょう?」
チョット心配そうな顔で私に訊ねましたので、
「うん、買い物済ませたらすぐ戻るよ。」
「そう・・ならいいけど。」
母とお兄ちゃんを残して家を出ました。頼まれた品物を買って家に戻ったの
は、それから30分位してからでした。
家に戻ると、家の中が馬鹿に静かでした。
「只今!」
声を掛けて中に入ると、先ほどの場所に二人の姿がありません。
すると、奥の部屋の方から、女の人のかすかなうめき声が聞こえた様に思い
ました。足音を忍ばせて奥に進むと、次第にその声が母のものだと判りまし
た。
「アァァ〜ダメ・・ソンナ・・」
「小父さんに知られてもいい?」
それはお兄ちゃんの声でした。
「ダメ・・ソレダケハヤメテ。」
その後、再び母のなんとも言えぬうめき声が続いた。
私はそこに居てはいけないと何となく感じました。再び家を出ると家の周り
を何周かして戻りました。
玄関からお兄ちゃんが出て来るところでした。
「サンキュー、悪かったな。お母ちゃんによろしくな。それと、今日の事お
父ちゃんには内緒だぞ、多分お母ちゃんもそう言うと思うよ。」
それがどんな事だかそれなりに判るつもりでした。
家に入ると、母が鏡台の前で髪を整えている処でした。
私の姿を見ると、妙にソワソワとした素振りで、その後お兄ちゃんと同じ様
な事を私に言いました。
「お兄ちゃんが遊びに来てた事、お父ちゃんには内緒だよ。知らない子家に
上げるとうるさいから・・。」
その時の母は妙に綺麗に見えた。