(?より 承前)中学の終わり頃には 日支事変が太平洋戦争に拡大し、戦況が苛酷になるに連れて 中学生も学徒(勤労)動員に狩り出されました。私も飛行機の部品工場で 三交替で旋盤を使うことになり、休憩時間などには からかい半分に工員の人達が「女と ヤル」ときの話をしてくれます。そのときは一応「フ-ン」と平気な顔で聞いていますが 家に帰って寝床に入るともうダメです。妄想で頭が一杯になり どうしてももうマスになります。私は父を早くに亡くして ずっと母と二人で暮らしで、ほかに 下宿人が居るという生活でした。

 寝るのは母と同室でしたから マスを掻くにも方法に困りました。いちいち催すつど 便所へ行くのもイヤで、その頃のマスは ペニスが勃ったらチリ紙二つ折りを三枚重ねてパンツで押さえ込み、俯せに寝て 掛け布団か敷布団にコスリ付けて腰を使うというヤリカタでした。この方法は 暫く続けていたら、何だか ペニスが扁平に潰れてきたような気がしてやめることにし、上向きに寝て 左手で布団を動かないように中から支え、右手で筒を造って ペニスをシゴク方法に変えました。

 その自宅が 敗戦の年の5月に戦災で焼けてからは、知り合いの紹介で 母はある大会社の男子寮の寮母を引き受けることになりました。私はそこで大学に受かり そこから通学するようになります。そこでは講義が無い日に 二階の寮生の部屋へエロ本を見に度々忍びこみました。「猟奇」とか「〇〇奇譚」など ときどき発売禁止になる本を持っている人がいたのです。自分では買えないし 母の手前持っても居られない本が読みたくて、機会があれば 昼間そこへ入り込んで貪るように読みました。

 もちろん その二階の部屋ではマスを掻け無いので マスは自室へ戻って母の居ないのを確かめてズボンを下ろすのです。ある日ウイークデイに その本の持ち主が会社を休んで部屋に居ます。聞けば婚約の相手が遊びに来ると云うことで やがてその女性(ひと)が二階へ上がって行きました。暫くしてバカに二階が静かになり 何だか気になるし、母も居ないので お茶でも淹れてやろうかと上がってゆくと、始まって いました。

 入口の引き戸はピタリと閉められ 恐らく中から鍵が掛けられているのでしょう。扉の中からは 「アー…ァ」「ウッ ウッ」と云う声が聞こえます。もう頭がクラクラして 足を忍ばせて部屋に戻るのが精一杯でした。早速私がズボンを下げ 二階を想像してペニスをシゴキ始めたのは云うまでもありません。暫くして 二階の二人は何事も無かったようにお出掛けでしたが、ニコニコ挨拶していった女性の顔が 妙に眩しかったのを憶えています。

 私が大学を出た時期に 母は寮母を辞め、親戚の好意で 東京の下町のある倉庫の二階に留守番として住むことになります。丁度繊維品が高く売れた時期で 下手に加工などするよりそのまま転売した方が儲かる景気の時期で、盗難防止のための 留守番だったのでしょう。ここから私は 就職した川崎の会社に通います。当時は学卒でも 三交替の現場に入る時代だったので、昼は母は務めで不在 私は夜勤で昼間はそこで寝ているというような暮らしでした。

 この二階の部屋がまた 私にとってマスの材料に事欠かない部屋になるのです。この二階の部屋は 南に家一軒分の空き地があり、その東側に二階建ての町工場 西側に平屋の「しもた屋」があります。「しもた屋」は東の空き地の側に庭があり 工場から覗かれないように厳重な高い塀が立てられています。その庭に面した座敷は 私のいる二階からは斜め下に真下といっても良いくらいの位置にあり、恐らく座敷からは 首を出して見上げなければ、私の部屋の窓があることに 気が付かない位置です。

 このしもた屋には 一寸可愛い若い姉とハンサムな弟の二人が住んでいました。近所の噂では 姉の方は近々結婚するような話がありました。ある日私は 夜勤から帰ってひと眠りし、夕方起きて 窓縁に脊をつけて寄り掛かり、ふと振り向くようにして下の家を見下ろすと 弟のハンサムボーイが寝転んで本を読んでいます。顔は左手で持った本に隠れて見えませんが 右手は股間に置かれています。そのまま見ていると 彼は本を読みながら左手をズボンのバンドの内側に差し込みます。

 そのまま暫く動きはありませんでしたが やがて彼の手はモソモソ動き出しました。何せこちらにも経験がありますから 「あ マス掻き始めた!」と直ぐ判ります。動きが急になり大分忙しくなった頃手が止まり 彼はムックリ起き直ります。彼は東側の工場の方を気にしていたようですが 覗かれる心配がないと思ったらしく、ズボンを下げ アソコを丸出しにして上向きに横になり、また本を左手に 右手で自分のペニスをぐいぐいシゴキ始めます。モノはハンサムボーイの顔に似合わない 立派なもので、青筋までは見えませんが 怒張して反り返っています。

 こうなると見ている私もタマリません。下から眼を離さず ズボンを下げペニスを出してチリ紙を用意します。彼は読んでいる本がイイ処らしく ネットリと右手でペニスをシゴキます。私もそれに合わせて 彼ほどではありませんがマア世間並みのモノをシゴキます。やがて動きは急調子になり それを見ている私もシゴキを速めたとき、彼はピタリと手を止め 本を放り出し傍らの紙を右手の先に持って行きます。「ア クライマックス!」と思った瞬間 私は眼をつむり、左でチリ紙を取り 激しく手を動かしながら射精しました。チラと下を見ると 彼も両手を前に当て腰を突き出し反り返っていました。(?へ 続く)(ブログ「茫々録・走馬灯」より)