私の通った美術女子短大は、
最終学年の秋に、男性ヌードデッサンの講座がありました。
必須の講座ではなく、希望者抽選なのですが、毎年倍率が15倍〜20倍となる人気の講座です。
私も当然(笑)申し込み、運よく参加となりました。

当日、8人の女性が陣取る部屋に、モデルさんが入って来ました。
後日に聞いたところ、正規のモデルさんが家族のご不幸で、代理での初モデルだったようです。
女教授に促され、あどけなさが残るイケメンのモデルさんがバスローブを脱ぐと、ご立派な一物が
現れました。私が見た中(数は多くありませんが)では群を抜いて大きい。
室内に軽いざわめきが起こりました。
女教授が、’あら、書きやすいわね’などと軽いジョークを飛ばし、デッサンが開始となりました。

まず、全体の構成を決めて、私は顔の方から書き始めました。
20分ほど経過したところと記憶していますが、室内が妙に騒がしい。
見ると、下に垂れていた男性の性器が、何と床と並行になっているではありませんか。
女生徒の失笑の中、それはあっという間に天を向いてしまったのです。
女教授が飛んで来て、タオルで隠して、’落ち着いて、深呼吸して’などと言って数分経過しましたが、
チラ見を繰り返す女教授がNGを出し、5分間の休憩となりました。

休憩の後に再開されましたが、また直ぐに上を向いた状態になってしまい、あきらめた女教授は、
’実態を書いても良いし、想像で書いても良いです’ということで続行となりました。
そこの部分をまだデッサンしていなかった私は、がんばって直視して実態ベースで仕上げました。

半月後ぐらいに、皆が書いたデッサンがデッサンルームの側面に張り出されました。
生徒がこれに投票した結果と教諭の評価を合わせて、その年の優秀賞が決まるしくみです。
20枚ほど張り出されていましたが、どれも下を向いたものばかりで、私のは張り出されていないと
安心した瞬間、一番目立たない左の下に、1枚だけ上を向いた私のデッサンが貼ってありました。
当然、注目の的となり、人気投票でも一位を獲得しました。

但し、その年の優秀賞からは、落選致しました。