初めて娘の授業参観に行ったときの話。当日妻が急用で行けなくなり、急遽ピンチヒッターとして俺が行くことになった。多少緊張したものの、小学校低学年の授業なので大したことないだろうと、スーツを着て仕度しながら考えていた。この時は、まさかあんな事件が起きるとは想像もしていなかった。
授業自体はとても微笑ましいものだった。算数や国語のような堅苦しい授業ではなく、異色の図工だった。子どもたちが想像力を働かせて生き生きとしている姿を父兄に見せたかったのだろう。
その日のテーマは、「自分だけのキャラクターを考え、それを絵に描いて皆に紹介する」というものだった。皆意外と上手で、キャラの設定もなかなか面白い物が多く、見ている方もそれなりに楽しめた。
Tちゃんが発表するまでは・・・
Tちゃん「先生?できたよ?」
先生「あら、それでは皆に自己紹介してくれるかな」
Tちゃん「この子はね、お空をとべて、とっても強いの。名前はスーパーマンです。」
先生「あら、その子はスーパーマンという名前なの?でもその子は女の子でしょ?スーパーマンといったら男の子の名前になっちゃうわね。」
Tちゃん「わかった。じゃあ名前変える。ここに新しいお名前を書くね。」
Tちゃん「・・・・・ハイ!でーきた!!」
先生「じゃあ、もう一度皆に紹介してくれる?」
Tちゃん「はい。みんな、この子の名前はスーパーマンコです。よろしく」
一見してひねりが全くないこのネーミングは、これ以上にないひねりを加えたコークスクリューパンチとして、無防備だった我々父兄に容赦なく襲い掛かった。
さらにTちゃんは畳み掛ける。彼女が掲げた画用紙には「すーぱーまんこ」とよりによって平仮名でデカデカと書かれていた。そのボディーブローに耐え切れず、父兄の誰かが少し「ぶふぉっ」と噴き出し、それをごまかすための不自然な咳払いをしていた。隣のおっさんの肩もぷるぷる震え出し、顔は真っ赤になっていた。
隣のおっさんはよほどツボに入ったのか、その後も思い出しぷるぷるを続けていた。そのうち、すーぱーまんこを忘れようと必死で努力しているこちらまで、おっさんの脳内とシンクロしてしまい、俺もぷるぷるし始めた。
少しでも気を抜くと、一気に噴き出しそうになるため、その後地獄の数十分を過ごすことになった。その間のことは何も覚えていない。せっかくの娘の発表すら記憶にない。ただただすーぱーまんこを頭から消し去ろうと必死だったが、必死になればなるほど意識してしまい、死ぬかと思った。
ようやく最後の一人になり、何とか乗り切れそうだと確信した。隣のおっさんのぷるぷるも止まっていた。そのころには、一度も目も会わせていないはずのそのおっさんとは、妙な連帯感や仲間意識を感じていた。そう、何か大きな戦いを乗り越えた戦友同士のように。
しかし、その感傷も大トリのSちゃんによって一気に吹き飛ばされてしまうことになる。
先生「あ、それは何か武器みたいなキャラだね?」
Sちゃん「そうなの、これはヤリなの」
先生「そっかー、お名前は?」
Sちゃん「ヤリマンです」
父兄A「ぶふぉ」
父兄B「ぐふ」
Sちゃん「ヤリマンはねー。悪い男をやっつけるのよ。今まで百人やっつけたのよ。」
父兄C「うぼぉ」
Sちゃん「だからねー、このヤリマンはただのヤリマンじゃないの。世界のヤリマンなの」
俺・おっさん「ぶっふぉん」
授業自体はとても微笑ましいものだった。算数や国語のような堅苦しい授業ではなく、異色の図工だった。子どもたちが想像力を働かせて生き生きとしている姿を父兄に見せたかったのだろう。
その日のテーマは、「自分だけのキャラクターを考え、それを絵に描いて皆に紹介する」というものだった。皆意外と上手で、キャラの設定もなかなか面白い物が多く、見ている方もそれなりに楽しめた。
Tちゃんが発表するまでは・・・
Tちゃん「先生?できたよ?」
先生「あら、それでは皆に自己紹介してくれるかな」
Tちゃん「この子はね、お空をとべて、とっても強いの。名前はスーパーマンです。」
先生「あら、その子はスーパーマンという名前なの?でもその子は女の子でしょ?スーパーマンといったら男の子の名前になっちゃうわね。」
Tちゃん「わかった。じゃあ名前変える。ここに新しいお名前を書くね。」
Tちゃん「・・・・・ハイ!でーきた!!」
先生「じゃあ、もう一度皆に紹介してくれる?」
Tちゃん「はい。みんな、この子の名前はスーパーマンコです。よろしく」
一見してひねりが全くないこのネーミングは、これ以上にないひねりを加えたコークスクリューパンチとして、無防備だった我々父兄に容赦なく襲い掛かった。
さらにTちゃんは畳み掛ける。彼女が掲げた画用紙には「すーぱーまんこ」とよりによって平仮名でデカデカと書かれていた。そのボディーブローに耐え切れず、父兄の誰かが少し「ぶふぉっ」と噴き出し、それをごまかすための不自然な咳払いをしていた。隣のおっさんの肩もぷるぷる震え出し、顔は真っ赤になっていた。
隣のおっさんはよほどツボに入ったのか、その後も思い出しぷるぷるを続けていた。そのうち、すーぱーまんこを忘れようと必死で努力しているこちらまで、おっさんの脳内とシンクロしてしまい、俺もぷるぷるし始めた。
少しでも気を抜くと、一気に噴き出しそうになるため、その後地獄の数十分を過ごすことになった。その間のことは何も覚えていない。せっかくの娘の発表すら記憶にない。ただただすーぱーまんこを頭から消し去ろうと必死だったが、必死になればなるほど意識してしまい、死ぬかと思った。
ようやく最後の一人になり、何とか乗り切れそうだと確信した。隣のおっさんのぷるぷるも止まっていた。そのころには、一度も目も会わせていないはずのそのおっさんとは、妙な連帯感や仲間意識を感じていた。そう、何か大きな戦いを乗り越えた戦友同士のように。
しかし、その感傷も大トリのSちゃんによって一気に吹き飛ばされてしまうことになる。
先生「あ、それは何か武器みたいなキャラだね?」
Sちゃん「そうなの、これはヤリなの」
先生「そっかー、お名前は?」
Sちゃん「ヤリマンです」
父兄A「ぶふぉ」
父兄B「ぐふ」
Sちゃん「ヤリマンはねー。悪い男をやっつけるのよ。今まで百人やっつけたのよ。」
父兄C「うぼぉ」
Sちゃん「だからねー、このヤリマンはただのヤリマンじゃないの。世界のヤリマンなの」
俺・おっさん「ぶっふぉん」