最近ふと思い出した。

痴漢とかあったことないなー、自分には関係ねーって思ってたけど
一回だけ中学生の時に変態に会ったことがあった。

そん時の話をする。
文章うまくないのは前もっていっておく。。。

当時中学1年だった私は電車で1時間かけて中学校に通っていた。
田舎だったし、電車で学校に通う中学生はちょっと珍しかった。
今は結構増えてるみたいだけどな(ちなみに私は現在23歳)

その日もいつものように学校の帰り、ホームで電車を待っていた。
季節は秋くらいだったと思う。冬服だったし、でもコートは着てなかったから。

ぼけーっと突っ立ってたらいきなり声かけられた。
「こんにちは。学校帰りですか?」

口調はすごく律儀なんだけど、独特の気持ち悪さがあった。
年齢は30代くらいだったかな。
正直よく覚えていない。服装はヲタではなかったけど、
ださいユニクロファッションを組み合わせた感じだった気がする。

今もだけど私は基本的に話しかけてきてくれた人を無視できない性格だから
そん時も「きもいなー」って思いながらも
「こんにちは・・・」って返事をしてしまった。

これが運の尽きだったんだ。

その男はひっきりなしに話しかけてきた。
「中学生?」
「どこの中学校なの?」
「1年生なんだーかわいいねー。」
「どこに住んでるの?」
「電車で学校通ってるんだ、えらいねー。」

とかもう本当にマシンガントークってやつですか。

正直怖くて逃げ出したかったけど、当時はそれすらできない臆病者で
ひたすら電車が来るのを待つしかなかった。

そしたらいきなり
「名前、佐藤かすみちゃんって言うんだねぇ。」(仮名)
って話かけられた。

実は私の学校の制服にはフルネームと校章が刺繍されてて、
ぱっと見で名前ばれしてしまうのだ。
しかも上記のようにわたしの名前はひらがなだったから
遠目からでも読みやすい。
だからと言ってさすがに初対面の知らないおっさんに名前呼ばれるとびびる。

ただなぜか当時の私は名前ばれしてしまった以上もう逃げられない、
と思ったんだ。
今でもなんでこの時逃げなかったんだろうと思っている。

ちなみにこの校章と名前の刺繍システムは後に改善され、
上に貼るアップリケみたいなのが開発されてた。

うわさによると私みたいな感じで知らない人に名前を呼ばれる事件が勃発したらしい。

まあ田舎とは言え変な人はだんだん増えてきてるみたいだからね。

「はぁ・・・」みたいな感じで生返事してたら
次の瞬間ありえない一言が。

「住所教えてよ。」

さすがにやばいと思った。
何がかって言うと、親にばれるのが怖かった。
もし家に来られたらお母さんにばれるやん・・・って。

適当に返事を濁してたんだけど
何せマシンガントーク野郎だったからしつこい。
しかも電車が来る時間が近づいてたから
ホームには人が集まってきていた。
その人たちに話をしてるのを見られてるのも恥ずかしかった。

だから教えてしまった。自分の家の住所。
でもさすがにばれるのは嫌だったから
郵便番号と番地は適当に書いた。

しかもその後電話番号も聞かれた。
自分なりに嫌がるそぶりはした。でも全然伝わらなくて心の中では号泣。
ちなみに電話番号もでたらめ書いた。

そうこうしてるうちに電車到着。
本気で救われたって思った。
乗車するスキに逃げようと思った。

でもこの電車は田舎でもかなり混む時間帯で、満員。
当然逃げられるわけもなく私の横に男が立っていた。

そしてまたひっきりなしに話しかけてくる。
「お友達になりましょう。」

心の中では「はぁぁぁ???!!」
って感じだったけど・・・小さくうなずくしかできなかった私。
その反応を見て「わぁ嬉しいです、僕お友達できたの初めてです!」とか言って喜ぶ男。

私は怖いやら満員電車でこんなこと見られてるのが恥ずかしいやらでパニック状態だった。

そんでもって男がまたありえない一言。
「じゃあお友達になった証に、手をつなぎましょう。」

さすがにこれは無理だ。
だって人生で手をつないだことあるの家族だけだし、とか考えていた。

何回か強引に握られたけど振りほどいた。
「恥ずかしいんで・・・」って何回も言ったらやめてくれた。

最初に停まる駅で電車を降りる人に混じって逃げようと思って後ろを振り返った。
男の子の同級生がいた。

普通だったら「助けてもらおう」って思うだろ?
でも当時の私は超絶がつくぐらい内気で、ついでにいじめられてて、
何よりもこのことが親にばれるのが怖かったんだ。
だから同級生に助けを求めたりしたら親にばれると思って逃げるのをあきらめたんだ。

さらに次の駅でちらほら席が空いたので無言で座った。
そしたら男はちょっと離れた席に一人で座った。

もう喜んだよ。やっと開放されたんだと思って。
でも甘かった。
次の駅でさらに人が降りて私の隣の席が空いたから男は隣に座ってきた。

そこから降りる駅につくまでの40分くらい地獄だった。

人が少なくなったことをいいことに男はさらに話しかけてきた。
結局見えないことをいいことに手も少しつないでしまった気がする。

駅に着いたとき、半泣きでダッシュして降りた。
駅のロータリーに家の車見つけて母親の顔を見たときは本当に泣きそうだった。
(田舎では駅まで親が車で迎えにくるのが一般的)

この話はここでおわりかのように見えたが・・・続きがある。

男に会ってから1ヶ月くらいして、私は男のことをほとんど忘れていた。

そんなある日の夜、お母さんにリビングに呼ばれた。
「なんか知らない男の人から電話で、かすみさんいませんか?だってさ。」
まさか・・・と思ったがもちろんそのまさか。

「こんばんは、前に駅で会った○○です。今お時間大丈夫ですか?」
鳥肌が立った。あの男だ。

でたらめな電話番号書いたのに・・・なんでかかってくるんだ。
今考えると父親の名前とかも教えちゃってたから、電話帳で調べられたんだと思う。
住所も番地は適当に書いたとはいえある程度分かれば田舎なら簡単に調べられたんだろう。
だが会話の中で男はでたらめな電話番号を書いたことを何もせめなかった。
それがまた怖かった。

ただ母親が目の前にいる以上これ以上話すのは無理だ。
「いや、今ごはん中なんで・・・忙しいんで無理です。」
そんな感じで断って早々に電話を切った。

母に「誰?知り合い?」ってきかれた。
「うん・・・まあそんなとこ。」
適当にはぐらかしたが内心ビクビクしてた。

それから男から電話がかかってくることはなかった。

再び悪夢は正月にきた。年賀状が届いたんだ。
電話番号がばれてんだから当然と言えば当然だ。

年賀状には黒いボールペンでびっしりと文章が書かれていた。
よく覚えてないんだけど、「僕たちお友達ですからこれからもっと仲良くなりましょう。」
ってのが強調されてたのを覚えている。
ちなみに男の住所は県外だった。

この年賀状にもでたらめな郵便番号と番地を書いたのは何にも書かれてなかった。
気持ち悪いとは思ったが、この年賀状を読んで男は本当に友達としての関係しか求めてないように感じた。
私が鈍いだけだったのかもしれないけど・・・
文章からそういう感じが伝わってきたんだ。

年賀状は中3まで届き続けた。
ただしそれ以外は何もなし。電話や手紙もなし。駅で会うことも二度となかった。

そして中3の時に私は男に手紙を書いた。

「私はあなたのことを友達とは思っていない。もう連絡しないでください。
○○さんも本当のお友達をちゃんと見つけてください。さようなら。」

そんな内容だったと思う。これでもしまた連絡がきたら今度こそ親や警察に言おうと心に決めていた。

結局男から二度と連絡がくることはなかった。

もし男が本当に純粋に友達になりたかっただけだったんだとしたらちょっと悪いことをしたのかもしれない。
でも当時の私にはこれが精一杯だったんだ。

テレビで痴漢とか誘拐とかあった人が、
なんで大声で助けを求めないんだ、助けを求めない被害者もおかしいって思う人もいると思う。
うちの母親もそう思う人間の一人だ。
だから・・・と言ってはなんだがこの件のことも母親に相談できなかったんだと思う。

でも実際こういう怖い思いをすると助けを求めようなんて思えないんだ。
怖いからこそできないんだ。

今でもそういうニュースとか見ると被害にあった人たちはどんなに怖かっただろう、と思う。