修羅場だったか微妙なんだけど、こないだ友人と再会して思いだしたので投下。5年前くらいの話、年齢は当時のもの。

S美=20女
N助=20男、S美彼氏
C太=21男、共通の友人
私=なんか巻き込まれた

四人とも高校の時からの遊び仲間で、S美とN助は中学の時から付き合ってるという周り中公認の
ラブラブバカップル。人目を憚らないいちゃつきっぷりが多少鬱陶しい以外は良い友人でした。
遊び仲間の中でもたまたま年が同じだったからよくつるんでいて、私と三人で遊んだりしてた。
C太はN助がなついてて仲が良く、S美も私もちょっとだめなお兄ちゃん的に仲良くしてた、そういう関係の中で起こった話。

S美とN助、ラブラブなのはいいんだけどお互いが嫉妬深く、喧嘩もなかなか多かった。
で、二人とも私に相談とか愚痴吐きとかをしてくるわけです。仲裁するわけではないけど、双方の言い分を
聞いて「まあそりゃ向こうが悪いわなー」とか「そのへんはアンタが悪いから謝っとけよー」のように
アドバイスしてみたり。大概は犬も食わないような内容なので、すぐ仲直りするような話でしたが。
二人高校は別だったけど、頑張って勉強して同じ大学に入ってもう二年、ああこのままこいつらは結婚するんだろうなー
なんて周りは微笑ましく見ていました。

しかしある日のこと。S美から電話が入って、
「N助と別れた」
二人の痴話喧嘩ではよく飛び出す言葉です。私はまたかと思い、
「あー今度はどした? またゲームで負けたんかー?」
などとちょっとからかうような感じで返事しましたが、S美の様子がそれまでとは違いました。
いつものようにちょっと聞いてよひどいのよー!とぷりぷり怒るのではなく、ただひたすら暗く深刻な感じ。
電話越しでもただ事ではないと感じたので、ちょっと会って話そうかと誘ってS美がうちに来るのを待ってる間に
今度はC太から電話が来ました。
C「○○(私)ちゃん? S美ちゃんから連絡来なかった?」
私「うん、さっき電話きてこれから会って話聞くとこ。もしかしてN助そっちにいるの?」
C「そうなんだよ、なんかいつもの喧嘩とはちょっと違うみたい。S美ちゃん本当に別れるって……こっちもN助に聞くから、
 ○○ちゃんも詳しく聞いてみてくれる?」
私「えー! ……わかった、聞いてみる。また後で電話するよ」
C太のところにいるN助は、ほっとけば自殺でもしそうなほどに落ち込んでいて目が離せないような状態とのこと。
N助のほうは絶対別れたくないらしい様子。やがてやってきたS美、沈んだ表情で事情を話し始めました。
表面上うまく行ってるようには見えましたが、長いこと付き合っていく間に細かい亀裂が増えていたようです。
束縛がきつく、バイト先の喫茶店に毎日来て男の客と話したりしないか見ていたり、遊び仲間と一言交わしても後で
ねちねち言われたり。N助の家が入っている宗教にしつこく勧誘されていること、その関係で双方の親からも激しく
付き合いを反対されていること……いろいろな事がS美にはもう限界だったようです。

私が話を聞く限りではもう別れてもしょうがないかな……と思えたし、S美の意思も固そうでした。
C太のほうはどうなったろうと電話してみると、そっちは男同士で酒を飲みながら慰めつつ話を聞いていたらしい。
S美からの話をデリケートな部分はぼかして話すと、N助からも(かなり口の重い様子だったようですが)大体そんな感じの
話だったと。残念だけど別れても仕方ない、C太も私と同意見のようでした。N助も酒飲んでC太と話しているうち
少しは冷静になってきたようで、未練はまだアリアリだけどS美の決意が固いのはわかっているし諦める努力をする、
自分の気持ちが落ち着いたらS美とは友人・遊び仲間の一人として接するようにしたい、と話しているそうで。
S美もそうなれたら嬉しい、といい、ひとまず話しもまとまった感じに。C太のほうはこのまま飲み明かすというし、
じゃあこっちも女同士で飲んで憂さ晴らしすっかーってな風になって電話を切り。比較的穏便にこの別れ話は終わった。
……かに見えたのです。次の日の夜になるまでは。

S美はそのまま私の部屋で飲んで泊まり。朝になってからS美を家まで送り、夕方までだらだらと過ごし、
夕方またS美に会い、夕飯どこかで食べようかー、などと話していたところでした。電話が鳴りました。C太から。
C「N助がいなくなった。家にも帰ってなくて誰とも連絡付かないんだよ。何か変なこと考えてそうで……」
酔いつぶれたC太の部屋に「ありがとうさようなら」などと書置きして消えたらしいのです。
やってたことの是非はともかく、N助はS美一筋の真面目な男でした。もしかして思いつめて……などといやな想像が
出来てしまうほどに。S美も青くなってます。どうしたらいいのかわからんけど、もしかしたら二人の思い出の場所とかに
いるんじゃ?(テンパっててそんな発想しか出なかった)とS美に思い出してもらいながら車を走らせました。

他の友達にも手分けして探してもらい、しかしどこに行ってもやっぱりいない!いよいよ焦ってきて隣の市まで
足を伸ばしてみようかと思っていたら、探してた中の一人から見つけた!と連絡が!場所は河川敷の橋の下。
急いでその場に向かいました。着くとC太が先に来ていて、なんか暴れてるN助を羽交い絞めにしてます。
川に飛び込もうとでもしてたんだろか。S美の姿を見つけたN助が喚きます。
N「やっぱり嫌だ、S美と別れるなんて嫌だ、結婚しようって約束したじゃないかぁぁぁー」
N「お願いだから、悪いところ全部直すから! 頼むから捨てないでーーー」
じたじた、ばたばたもがいてS美のほうに向かおうとしてますが、ガタイのいいC太ががっちり捕まえて放しません。
やがて疲れてきたのかN助の動きが止まり、C太が手を緩めるとその場に崩れてさめざめと泣き出しました。
S美は怯えてましたが、はっきりとN助に告げました。
S「ごめんなさい。もしN助がここで死ぬって言ったとしても、それでもまた付き合いたいとは思えない」
それを聞いてN助の泣き声がさらに激しくなります。
N「どうしたらいいんだよ俺、S美に捨てられたら俺なんか生きてる価値がないよーーー」
それを聞いたC太ががばっとN助を抱きしめて、
C「生きてる価値ないなんていうなよ!大丈夫だよ!そんなこというなよ!」
美しい男の友情です。ちょっとホロリときました。いい光景だった。そこまではね。

C「お前にだっていいことがあるよ!S美ちゃんは 俺 が 幸 せ に す る か ら !!」

な、なんだってー(AA略

何が起きたのか、C太が何を言っているのか。理解するのに時間がかかりました。何のコントだ。

朝にS美が家に帰り、夕方また私と会うまでの空白の時間。その間にC太はS美に告白していたのです。
そして、信じられないことにS美もそれにYESの返事をしていたのです。
ええ、C太が相手はわからないけど叶わない恋をしていることは前から気が付いていましたよ。
……実は私はC太のことが好きでしたから。そして、S美とN助に相談していました。
S美は私のほうを見ようとしません。そらそうだ。N助はしばらくポカーンとしてましたが、やがて理解したようで
N「ふざけんなああああああ!!!」
とC太に殴りかかりました。今度は止める人もいません。大変な殴り合いになりました。
後から来た友達が間に入ってようやく納まりましたが、N助は「殺してやるーーー!!!」と叫んで
S美が「もうやめてーーー!!!」と泣き(誰のせいだ)しっちゃかめっちゃか、友人たち訳わからず。
C太、前の晩に男同士で酌み交わした酒はなんだったんですかー……

そしてS美とC太は付き合い始め、N助は大学を卒業した後隣の県の遠いところに就職して連絡取れなくなり。
冒頭で再会した友人はS美です。私はあれから数年後に全然関係ない人と結婚し、現在妊娠八ヶ月。
大きくなった私のお腹を見て
S「あーあ、私もCちゃんといい加減結婚したいなあ?。Cちゃんがちゃんと仕事してくれればねえ……
  でも○○ちゃん全然変わんないんだねっ、お腹も前と変わらず太ってるように見えちゃったアハハ」

彼らがどのような性根でどのような暮らしをしてるか察しが付いたかと思います。
多分もう二度と関わらないからいいや。長文乱文失礼しました。