昭和50年代後半、僕は高校生。

6歳年上の兄が時々、夜の港へ車を走らせることがあった。

僕はお供でついていった。

平日の夜、港で特に何のイベントもない。釣りをするわけでもない。

僕と兄は、港につくと小型テレビのスイッチを入れた。

ゆっくりチャンネルのダイヤルを回していると、ふだん砂アラシしか見えない所に、変なテストパターンが映った。

「やった!今夜はやる日だ。」

僕と兄はしばらく待ちかまえた。やがて何の予告もなしに、番組が始まった。

「すげぇ〜」

それは、マンコもチンポもまる見えの「裏ビデオ」だった。

港に外国の船が停泊する夜、船からごく小さな出力で、日本のテレビに合わせた周波数で、Hな番組が届けられる事があった。

ちょっと離れたところに、軽トラックが停まっている。兄が言った。

「あの車には、ビデオデッキが積んであって、『番組』を録画してるんだよ。」
「すごいね。金持ちなんだね。」

ビデオデッキがようやくウチにも来たころだった。
でも、持ち出せるようなビデオデッキは、まだ遠い存在だった。

僕と兄は、小さな画面にうつるセックスシーンを目に焼きつけていた。

いつか、こんな裏ビデオを見ながら思いきり気持ちいいオナニーがしたいと思っていた。