小学生のとき、友達のお母さんにわざと叱られることにハマっていた
もちろん相手を選んで悪戯するのだが、よその子というだけできちんと叱ってくれる母親は少ないため手当たり次第だ
叱られている間、自分のことだけを見ていてくれるのが純粋に嬉しかった
「お尻を出しなさい、罰よ」
中には何人か尻叩きの刑を加えてくるお母さんがいて、友達がされるのを散々見せつけられた後は必ずこちらにもその順番が回ってきた
尻をめくられ、太腿に乗せられて情けない格好のまま何十発も尻をぶたれる
最初は遠慮していたお母さんも、悪戯を繰り返すうちにだんだんと手加減がなくなり、何十発どころか百と数十発は叩かれてから友達と一緒に閉じ込められ、ようやく解放してくれる家まであった
自分はそこまでされても快感と満足感しか感じていなかったのだ
考えなしに悪戯をしてもそう都合よくは叱ってもらえないので
何度も遊びに行って、とにかく情報を集めた
「うちのお母さん、危ないことをしたらめちゃくちゃ怒るんだよ」
そう聞いては庭に出て鬼ごっこをする際に崩れそうな石塀によじ登った
「アンタは何しよんの!」
すぐ捕まって家の中へとひっぱり込まれ、尻叩き
友達も外から見ているが、お構いなしにパンツも下げられパシン!パシン!パシン!と脂肪の厚い部分へ狙いをすませた平手打ちが次々に飛んでくる
脂肪があるからといって痛みがないわけはない
みるみるうちに赤みがかってゆく臀部は熱を持ち、じんじん痒みを放ち始める
普通の子供なら、この段階で「もうしません、ゴメンナサイ」と泣いて許しを求めるのだろう
自分の場合は違った
謝れと言われても決して自分から謝ろうとしない
尻を叩くのをやめてもらえないことは、自分にとって最大の御褒美だったからだ
「お尻叩くの、いつまでも終わらんよ!」
そう言いながら叩いているお母さんのほうは困ったに違いない
もちろん本当に永遠に叩き続けるなど不可能だし
終わらないと言って叩き始めた手前、中途半端に許すわけにもいかない
結果、百と数十発ほど叩いたあたりでお母さんは肩で息をしながら、
「き、今日はこれぐらいで、許して、あげます…」
と、実は叩く手のほうがもう限界だったことを隠して、最後まで叱ってくれる
自分はそんな厳しい中にも愛のあるお母さんの虜になっていった
さらに別の家でも尻叩きされたくなってお母さん達の前で似たような悪戯を試したことがある
そんな中、
「あなた△△△さん家でお尻叩かれた子でしょ、まだ反省してないの?」
なんと先に紹介した家の話を聞かされたお母さんがいた
「もしかして今からお尻叩く…?」
嫌そうな表情をわざと作って尋ねる
「反省してないなら叩くよ」
しめたと思って子供が思いつくような嘘クサい言い訳を次々に並べた
もちろん怒らせるために
先に言うとすぐにお尻は叩いてもらえた
あのお母さんと同じように太腿に寝かされ、パシン!パシン!と強めに百と数十発ほど
ここまでは同じ
しかしこのお母さんは、ここからさらに「まーだ我慢できるかなぁ?」と何十発も叩き続けてくれたのである
快感と苦痛の狭間だった
さすがに百何十発も叩かれ続けている尻をさらに打ちのめされると、子供の自分には限界だったようだ
もういい、もういいです、と許しを請うが「何がもういいの」と許してくれない
この時初めて、尻叩きの刑の恐ろしさというものを思い知らされたのである
腫れた尻を無様にさらし、尚も飛んでくる平手に「ゴメンナサイ」と繰り返す
かなりの長い間、その声が聞き届けられることは無かった
尻の感覚は痛みを通り越すと薄れていったが、体中から汗が噴き出して衣服が湿っていくのがわかる
全身に力があまり入らない
小一時間、尻に平手を受け続けてようやく許される頃にはしばらく自力で立ち上がることすらできなかった
「もうしないのよ、わかった?」
直後に聖母のように微笑むことができるのが母親の強さなのだろうか
美しくもあり、恐ろしくもあった