mako1988

私たちのエッチな体験談

私のエッチな体験・皆のエッチな体験、ネットで拾ったエッチな体験の話をいっぱい掲載

5 12月

痴漢プレイ。

痴漢プレイ

昨日、嫁と初めての痴漢プレイをしてきました。

夜10時過ぎに自宅から離れたアダルトグッズや本・DVDなどを販売してる店に行ってきました。
先ず私一人で店に入って一通り店内を回ると、10人くらいの男性客がいました。
事前に告知して集まってくれた単独男性が四人いるはずですが、ドキドキ感を増すために、私も嫁も誰が痴漢プレイの為に来てくれた人かわからないです。

一旦車に戻り集まってくれた四人にメールを送り、これから店に入る事と嫁の服装を書いて送信しました。

因みに嫁の服装は、下はヒラミニのスカート。上は半袖のTシャツに薄手のジャケットを羽織った感じです。
パンツは紐パンにしました(笑)

いよいよ二人で店に入ると、入ってすぐに本のコーナーがあり、そこで雑誌を立ち読みしてた若い男と中年男性と目が合いました。

嫁は一気に緊張が増したのか繋いでた手を解き、両手で私の左腕をグッと掴みました。

DVDが沢山陳列されてる通路の狭い方へ歩いてると、一人の男性と擦れ違った時に嫁が「あっ!」と言いました。
小声で「もしかして?」と聞くと「お尻触られた」との報告。

そのまま店内の隅まで進むと、私達の進行方向と後ろから男性が迫ってきます。
私達が隅で立ち止まると後ろから来た男性が「見つけたよ。」と囁きながら大胆にも左手で嫁の胸を揉み、右手で下着の上からマ○コを軽く摩って「もう濡れてるね。また後で」と言って居なくなると、入れ替わりに進行方向側からきた男性が嫁の手を掴み自分の股間を触らせながら、右手でお尻を撫で回し「コスチューム売ってる方なら完璧に死角だよ」と私達に告げてコスチューム売り場の方へ誘導するかのように歩いていきました。

私「え?まじで?俺がここで触ってイカせる?」

嫁「うん。車でもいいし」

私「じゃあ車行こうか」

そう言って二人で車に向かいますが、店の出口に向かって歩いてると私達をジッと見つめる視線を感じました。
もしかしてもう一人の人かな?と思い、確かめてみたくなり嫁に「車戻る前に5分くらい店内を別行動してみない?」と提案してみました。
嫁「え?一人でフラフラしたくないよ?。」
私「じゃあ、レディコミを立ち読みしてるだけでいいよ」
嫁「それならいいかなぁ。絶対5分ね!」

そんな約束をして嫁にはレディコミを立ち読みさせて、私は嫁を背後から観察出来る所で立ち止まり、もう一人の単独にメールしました。

すると、もう一人の男と思われる人物は嫁の横にしゃがみ携帯を弄り始めました。
そして携帯をポケットにしまうと嫁のスカートの中を堂々と覗き込んでます。

しかし、男がポケットに携帯を閉まっても私の携帯が鳴りません。あれ?あの人違うのかな?と少し携帯を弄ってまた顔をあげると、いつの間にか嫁が男二人に囲まれてました。

その時私の携帯が鳴り「これから頂きます」とメールが着信。
何ともう一人の男は二人組でした…。

予想外の展開でしたが、とりあえず5分は静観する事にしました。

しかし男二人は服の上からしか触らずちょっと期待外れのまま5分経過。

私「今日はもうこれで終わりなので」と声を掛け終わりにしました。

嫁「またイッちゃった(笑)」

私「え!パンツ越しのお触りでイッてたの!?」

嫁「前より敏感になってきたのかなぁ(笑)」

と上機嫌で痴漢プレイは楽しかったみたいです。

帰りの車中には助手席でオナをするように言ったら応じてくれました。

私「露出もしてみたい?」

嫁「どんな感じか分からないけどやってみたいかも。」

私「じゃあもう少し暖かくなったらやろうね。」

嫁「なんかエッチな気分収まらないから今から少ししてみようよ♪」

想像を超えるスピードで変態になってく嫁にビックリですが、嬉しい傾向です。

そして私達は家を通り過ぎ、大きな公園に向かいました
レス削除
私達も後を付いて行くと、薄暗い照明に変わり回りにコスチュームが沢山展示されており、それが上手い具合に死角を作り出していました。

回りをキョロキョロしてると、こちらに誘導した男性が現れて嫁に後ろから抱き着き体中を触り始めました。

目を閉じ黙って触られ続ける嫁。そうこうしてると、一人二人と人が増えてきました。

声を掛けた四人のうち、三人が集まり一斉に嫁を触り出し、中にはチ○コを出して嫁に触らせてる男もいます。

すると一人の男が嫁の紐パンの紐を解き、スルッと抜き取りました。
スカートは捲り上げられジャケットは脱がされ、Tシャツとブラも捲り上げられほぼ全裸に近い状態になりました。

徐々に足がガクガクしはじめ、そろそろイキそうな雰囲気になってきました。

しかし嫁より先に、手コキさせてた男が嫁の太股に発射し、嫁を触りながらオナってた男はお尻に発射しました。

精子を掛けられ更に三人に責められた嫁も一人の男には乳首を舐められ、もう一人の男には乳首を摘まれながらアナル周辺を撫で廻され、もう一人はクリを優しく擦り嫁を絶頂に導きます。そして声を殺しながら絶頂を迎えた嫁は、静かにその場にしゃがみ込みハァハァと息を切らしながら無言で服を直していました。

既に発射した二人はそのまま何も無かったように「ありがとう。楽しかったよ!またね♪」と言って去っていきました。

そしてまだ発射してないこの売り場に私達を誘導した彼はポケットから嫁の紐パン出し、二人が発射した精子をパンツのクロッチ部分で拭き取り「これ穿きなよ。ドMちゃん」と言って嫁に渡しました。
パンツを渡された嫁が私を見るので「穿きなよ♪ヌルヌルしてまた気持ちよくなるかもよ(笑)」

そう言うと照れながら私達が見てる前で紐パンを穿きました。

穿いたのを確認した男性がパンツの上から嫁のマ○コを大きく円を描くように、ゆっくり愛撫し嫁は「冷たいけど気持ちいぃ」と小さく呟きます。

しかし男性は「明日仕事早いので帰りますね。是非また誘って下さい」と言って帰ってしまいました。

ホントならもう一人参加者がいたはずですが居ないので仕方なく帰ろうとすると嫁が「ヌルヌルして気持ち良くて、またイキたくなってきちゃった」と言い出しました。

5 12月

まぶしくてイカンJKと猫達の話

登場人物
隼雄(仮名、本名にちょっと近い)→俺。29歳男。女苦手。脱サラして自営。彼女いない暦1年。今まで5人とつきあったが、最後まではしないでいるうちに、フラれたり自然消滅で、いまだに童貞。
紗季ちゃん(仮名、本名にちょっと近い)→近所に住むJK。17歳。県立高の2年。背が高くて細い。168cmらしい。
    

最寄り、と言っても歩いたら40分以上のK駅に、車で買い出しに来た。
駅ビルやモール、商店街が賑やかで、遊びや買い物には良い街。
ウチの辺りからは、ちょっと遠いので、普通は車、お年寄りはバス、若い子はチャリやバスでやって来る。

食材をいっぱい買い込み、袋を後部座席に並べる。
俺は、中学の頃から家の料理番で、主夫(?)歴16年。ベテラン主婦の域に近いかも。
趣味の仲間達の集まり(ほぼ女子会)で、行楽に作って持っていく料理などは、皆がアテにしまくっている。

スーパーのパーキングから車を出そうとしている時、出口の歩道に、背の高いJKが立っているのに気がついた。
紺のブレザーの下に、グレーっぽいセーター。スカートは、そこらのJK同様に短い。脚が細くて真っ直ぐで長ーい! 
ただ立っているだけで絵になる女の子。

かっこいいなぁ。 俺も高校生の頃に、あんな子と付き合いたかったよ。無理だけど・・・

顔の雰囲気は、横山由依系で、輪郭をもう少し細くした感じ。
長くて柔らかそうな黒髪が、肩から胸へ流れるように下りている。
制服姿の綺麗な子を目の前で見るのはヤバい。制服効果は偉大だ♪

ボーッと眺めていたら・・・
一瞬、ゾクッ! 
JKとアイ・コンタクトしてしまった!! 困った。。

ニタッと笑って近づいて来る。嘘だろ?俺じゃないよな?

女が苦手なやつなら解ると思う。綺麗な女の子が自分に近づいて来るなんて、タチの悪そうなヤンキーが寄って来るより恐怖なんだ。どう対処して良いかわからないから。

その子は、ちょっとお辞儀するような姿勢で車内を覗き込み、助手席の窓を指でコンコンと叩いた。
うそだろー!?

指を下にクイクイと差すジェスチャー。
窓を開けろと言っているのかな?
何か文句を言われるんじゃないかと、ビクビクしながら窓を開けると、
JK「えへへ、このクルマの形と若葉マークで直ぐに判った♪」
え!?
「これから帰り? 家まで送ってってくれるかなぁw」
「家って、えーと・・・」なんなんだ、いったい・・・
「まさか、あたしが判らないの!? 」
「うそー!?ずっと遊んでくれてたのに」
怒ってる。。え!?遊んだって???

「焼きそば!野菜を多めにちょーだい!」
突然、場違いな事を言い出すJK。

俺は、ちょっと考えて、映像がよみがえってきた。
「あー、思い出した!」そうだ、去年の秋、町内会の役員で、俺が祭りの焼きそばを焼いていた時だ。
客の奥さん方や子供達が次々に来て忙しかった。
背の高い綺麗っぽい子が目の前に立って、
「お疲れさまー♪ 野菜を多めにちょーだい!」って言って笑った。
お疲れさま、なんてねぎらいの言葉を言ってくれたのは、その子くらいのもんで、
役員は皆大変なのに、お客側の住民は、サービスされて当たり前って感じだったから、
良い子だなぁって思った。
そうか、町内会の子だということは判ったぞ。・・・しかし、まだ誰だか判らん。。

話しながら、ヒントを見つけようと思ったけど、そういう会話も苦しいので、正直に話すことにした。
「男ってさ、昼間は仕事してて、近所を歩き回ったりはしないでしょ。
すれ違う時に、近所の人だろうなぁって、挨拶しても、誰だか判らないのがほとんどなんだ。
会話をすれば顔も憶えるけど、奥さん同士みたいに、おしゃべりが始まることは滅多に無いし。
自治会の役員の時に一緒に働いた奥さん方や、じいさま、ばあさま方の顔は憶えたけどね。それくらい・・・
小さい子は、数年まともに顔を見ないうちに、大きくなって、誰だか判らなくなっちゃう。ゴメン」
俺が、人の顔をまじまじと見たり、視線を合わせるのが苦手というのもあるんだけど・・・

「そうなんだ・・・コミュニティの危機ね」真面目ぶった表情でJKが見つめる。きれいだなぁ・・・やはり目を合わせられない。。
「ゴメン・・・」謝るくらいしか芸が無い俺。

「紗季だよ。忘れちゃったの?」
JKは、眉毛を下げ、ちょっとアヒル口っぽい情けない表情で、こちらを見つめてささやいた。

ああ! 紗季ちゃん!! 紗季ちゃんだったのか!・・・

「大きくなったなぁ! 判らなかった・・・ごめん。乗って!乗って。ごめんね」
申し訳なくて、心の中で、自分を「シネ!シネ!」と呪う。
「道でも、何回も会ってるし。挨拶し合ってたんだよ」と、紗季ちゃんは、あきれたような表情。

俺が高2の時に、紗季ちゃんちは近所に越して来た。町内会の同じ班だけど、ちょっと離れている。紗季ちゃんは5歳だった。
おしゃべり大好きな婆ちゃんが元気一杯で、一家の大黒柱は婆ちゃんて感じ。
紗季ちゃんは婆ちゃんっ子で、小さい頃から、言葉も表情もシブい子。
いつも髪は短め、ちょっと昔の子っぽい地味な感じの子だった。
今、目の前にいる、背が高くて、髪の長い、きれいなJKとは、結びつかない。

ある日、家の庭に、子猫が二匹捨てられていた。立って歩くことも出来ない小さな赤ん坊だった。
とりあえず一時避難というつもりで育てた。クゥとピッピと名付けた。
姉は猫なんかよりも遊びや恋愛で忙しいし、おやじも猫の世話では戦力外。お袋と当時小6の俺が、なんとか育てた。
母乳をまともに吸っていない早い段階で、親から引き離された子猫は、免疫力が弱いらしい。
育てるのがとても難しくて、過去、死んじゃった子猫が何匹かいたのだけれど、その2匹は幸い順調に育ってくれた。

2匹の子猫が立派な大猫に育った頃、紗季ちゃん一家が越して来た。俺は高2だったな。
初夏の陽射しが気持ち良い休日だった。
クゥとピッピを庭に出して、日向ぼっこさせ、メヒシバという雑草を食べさせていた。
猫には、毛玉を吐き出させるために、時々草を与えないといけないのだけれど、メヒシバは、市販の猫草よりも猫達が良く食べてくれる草なんだ。

しゃがんで、猫達を撫でていたら、敷地の外の道ばたにしゃがみ込んでいる二人の女の子がいた。こちらの猫達を見つめている。幼稚園児くらいだなと思った。
「触ってみる? 優しい猫だから大丈夫だよ」と、声をかけてみた。
髪の長い女の子は、「ウン!」と言って、直ぐに猫を撫で始めた。でも、撫で方が強引で、猫は迷惑そうだったw

続いて、ちょっとためらいながら、髪の短い子が庭に入ってきた。この子が紗季ちゃんだった。
「ほら、こうやって、のどとか頭を撫でると喜ぶよ」と、穏やか猫のクゥを差し出してあげた。
おずおず・・・という感じで、紗季ちゃんは撫で始めた。最初は、おそるおそるだったけれど、だんだんコツがつかめてきたのか、クゥが目を細め「ブゥゴォ♪ブゥゴォ♪」とウットリ、腹を出してひっくり返った。
「これね、猫が、すごく喜んでる時の音だよ」と言ったら、紗季ちゃんは、つぶれたアンパンみたいな笑顔を浮かべた。

それからは、「おじちゃんいる? 猫見せて下さい!」と言って、二人は、いきなり玄関を開け、階段を駆け上がって、俺の部屋に遊びに来るようになった。だいたい猫達は俺の部屋にいた。

美優ちゃんは、美人さんなんだけど、マセた感じ。悪い女になりそうな雰囲気が、既に漂っていたり♪ で、あんまり好きにはなれなかった。
紗季ちゃんは地味で、ひたすら子供ーって感じの子だった。

猫いじり以外にも、本読みやお絵描きなど、いろいろな遊びをした。
お馬さんゴッコをしたけど、これはお馬になった俺だけが疲れる遊びでマイッタw

俺は海外の凄腕挿絵画家達の絵が好きで、世界の昔話などの絵本をたくさん持っていた。
声音をキャラごとに変えて絵本を読んであげた。彼女達は、すごく真剣に聴いていた。
子供って、アニメなどよりも、人から本を読んでもらうのが大好きらしい。

100均で大きな色模造紙を買ってきて、マジックやオイルパステルで自由に描きっこした。
「花」、「人」、「動物」などとテーマを出し合って描いたり、お絵描きしりとりなどをした。
美優ちゃんは、女の子や花の絵を描くのが好きで、紗季ちゃんは動物を描くのが好きだった。

彼女達と同じ歳の孝くんという男の子も加わるようになったが、わがままで手を焼いた。
その後、孝くんが何か悪い事をしたとかで、紗季ちゃん達とは仲が悪くなって、孝くんは来なくなった。

彼女達が小2の頃だったか、美優ちゃんちが引っ越した。
女の子一人だけを部屋に上げるのは、俺は何か抵抗を感じるようになって、紗季ちゃんとは庭で遊んだりするくらいになった。
それでも、紗季ちゃんの誕生日に、飛び出す絵本を参考にして、10ページくらいの物語仕立ての飛び出すバースデイカードを作ってあげたら、「すごーい!すごーい! これ、あたしに!?」と叫び、飛び跳ねて喜んでくれたっけ。

紗季ちゃんは、手をつなぐのが好きだった。
初めて、つないできた時は、びっくりした。
俺が手をぶらっと下げていたら、右手にペトッとしたモノが触れた。一瞬ゾワッとした。アマガエルの皮膚みたいな触感。
右手を見下ろしてみたら、紗季ちゃんがボーッとした顔で俺の手の指をつかんでいる。
表情からして、何気なく手をつないでいる感じ。
手をプラプラさせたら、紗季ちゃんも手をつないだまま、嬉しそうに腕をブンブン振って、「キャッキャ、キャッキャ」と笑う。
小さい子の肌は、キメが細かくて水気があるんだろうね。まるで吸盤みたいに貼り付く。
それからも、紗季ちゃんは、よく手をつないできた。
ペトッとした触感も、若い小さな命だと思うと、愛らしく感じるようになった。

大学3年になると、家から遠いキャンパスに変わり、俺は家を出て都内のアパートに暮らすことになった。
卒業してからも5年くらい、そこに住んで、修行暮らしや就職をして一人暮らしを続けた。
ずっと、紗季ちゃんと会うことはなかった。
そうして月日が流れていった。

両親と姉は昨年、俺が都内のアパートからこちらに戻って来るのを機に、貸家にしてあった隣町の家に姉貴と一緒に移り住んだ。隣町は立地やお店などが色々と便利なのだ。
2匹の年寄り猫は、俺に託して置いていったw

俺は、今まで皆が住んでいた古い家をリフォームして、一人で住むことになった。
戻って来て、一人暮らしを始めた年に、自治会の役員の当番が回って来て泣いたw
あんな役割は、一家にヒマ人がいる世帯じゃないと負担がデカ過ぎるよ。。
親や姉貴達は、うまいタイミングで引っ越しやがったなw

脱サラしてからは、自宅兼仕事場。
勤め人ばかりが多い世の中、事情を知らない人達は、一軒家に若い男が独りでニート暮らしをしているように思うかもしれない。
不気味だろうねw

そんな昔話が脳裏をよぎった。

さあ出ようか。「シートベルトしてね」
「あ、うん。はいはい」紗季ちゃんは、ぎこちなくシートベルトの在処を探した。
紗季ちゃんの左右の胸の間をシートベルトが斜めに締め付ける。制服だけど胸が浮き上がって色っぽ過ぎる。。
あの小さかった女の子が・・・別人だ。
非常に不心得だが、シートベルトになりたい♪

パーキングのカードを機械に差し入れ、「どうぞ」と機械がバーを上げてくれた。いっぱい買ったから無料だった。もっと遊んでいても駐車時間は余裕だったな。

俺は、最近ようやく免許を取った。
「車なんか無くていい。お前には向かない。危ないw」と言っていた親達が、なぜかここ数年、「免許を取れ!いつ取る?早く取れ!」と、うるさく言うので、しょうがなく取った。
「車は買っておけ。乗らないと怖くなって乗れなくなるぞ!」 とか・・・
こっちは車には情熱も無いのに、自動車学校も車も自腹。
それから、親達の足になることが多い。勝手なものである。。
やはり向いていないようで、免許を取って10ヶ月になるのに、相変わらず運転には余裕が無くて緊張する。

「おじちゃんも免許取ったんだねー♪ あたしも来年取ろうかなー♪」紗季ちゃんが嬉しそうに言った。
わぁぁ、おじちゃんかぁ・・・

高校生だった頃の俺に「おじちゃん」って言って、紗季ちゃんのお母さんが「おじちゃんはかわいそうよ♪ おにいちゃんよ」って、笑ってたなぁ。
俺は、よく童顔とか若過ぎるとか言われる。
今年の一月なんか、仕事の打ち合せで、久々にスーツを着て出て、タクシーに乗ったら、運転手のおっちゃんに、「成人式ですか」と言われたし。10年前に済ましてるわい!
高校の時の俺は、ほんとにガキって感じだったと思う。それでも、幼児から見たら「おじちゃん」なんだろうな。

「ねぇ、紗季ちゃん、おじちゃんはかんべん。。」
「え?やっぱり?嫌だった? おじちゃん♪」笑いを堪えている感じの声の紗季ちゃん。
「あー、そうだね。今は、おじちゃんて感じしなくなった。でも、おじちゃん、変わらないよねー」
「紗季ちゃんが大成長したからね♪」
紗季ちゃんは、ふとももを手でパチパチッと叩いた。生脚だから良い音がする。「えと、おじちゃんの名前なんだっけ?」
「名字?」
「名字は知ってるしw じゃなくて名前っ!」紗季ちゃんが笑いながら身体を揺すって、シートがギシギシきしむ。
「隼雄だよー」
「じゃ・・・隼雄さん」なんか言いづらそうな紗季ちゃん。
俺も緊張するーw

話が途切れた。何を話そうか。でも、良いネタが浮かばない・・・車の運転で一杯一杯だし。
「ぶ、部活は?」どもってしまった。。
「やってないよー」ちょっとつまらなそうに答える紗季ちゃん。話題を変えた方が良いのかな?
「えー? 絵が好きだったじゃん」でも、流れで絵の話をしちゃう・・・
「うん。美術部に仮入部した。でも顧問の先生がキモくてやめた・・・
あ!そうだ。絵を教えてよ!出来れば美大に行きたい! 女子美でもN芸の美術でもなんでもいい。あたし、学科はけっこう良いんだよ。美術も」
紗季ちゃんは、身体をこっちに向け、俺の左のふとももをつかんでさすった。
て、照れる! 恥ずかしくて事故るよーw

うーん、しかし困った。下手な事を言うと、紗季ちゃんに意識されて、再開したばかりの良い間柄も終わりかなと思ったけど、言ってしまった。
「俺、一人暮らしだぜ。紗季ちゃんみたいな年齢の女の子が俺の家に入って行ったらマズいと思うよ」
「えー、そうかなあ。母さんはぜったい大丈夫って言うと思う。 あ、おばあちゃん、ヒマだし。おばあちゃんと一緒だったら?」
「うーん、俺、仕事にかかりっきりで、なかなか教えてあげられないかもしれないぜ」
「あ、彼女とか来てたらヤバいんでしょ?」
「彼女? いない、いない! ずいぶん前に別れた」
「へー、そうなんだー」
紗季ちゃんは、首をカクカクと左右に動かしているようだ。
「そっかー・・・   ヒマな時で良いから教えてよー」
こんな子と家で一緒に居たら、息苦しくて過呼吸になりそうだ。

視界の外れに紗季ちゃんのふとももがちらつく。短いスカートで座ってて、脚長いし、ふとももの露出面積が大サービス。
うー、見たい!
JKのふとももをこんな間近で見る機会は、もう二度と無いかもしれないぞ!
でも、ガン見じゃなくてチラ見でも、女の人って男のスケベ視線に気づくっていうからなぁ・・・
運転してて、わき見する余裕は無いし。。
信号待ちの時になんとか・・・
席の間にシフトレバーがあるタイプのMT車だったら、操作する振りして、ふとももをチラ見出来るんだけど、オートマだからなぁw レバーはハンドルの横だしー。。

そうだ! CD入れが席の間にある♪ 次の信号で止まるぞー♪
こんな時に限って、なかなか赤信号にならず、信号をいくつもスルー・・・
ようやく赤!
「紗季ちゃん、CD聴かない」と言いつつ、二人の席の間にあるCDの箱を示す。
そして、ゴソゴソと何枚か取り出しつつ太ももを見る。俺は下を向いているから、スケベ視線はわかるまい。ぐふふw
30cmの至近距離にふともも! やっぱりきれいだ。肌スベスベ。産毛は見当たらない。白い肌に青い血管が透けてなまめかしい。触りたいなぁ。たまらん。
あ、もう青だぁ。。発車ーーー。。

紗季ちゃんがCDを何枚か手に取って見ている。「えー? なにこれ・・・ピグミー、密林のポリフォニー。スーフィーの神秘。奇跡のホーミー・・・なんじゃこりゃ。。なんか、もっと普通の無いの?」 
うへあ。ちと恥ずかしい。。
「そだね、ゆずとかいきものがかりもあると思うよー」
紗季ちゃん「うーん、いいや。音楽無しでw」

しっかし、俺、なんで、こんなにふとももが見たいんだろ?
20歳くらいの頃までは、水着のビキニ姿を見ても、普通に見せてる格好だから普通だろって感じで、エロを感じなかった。
露出度は、ブラジャーとパンツの下着姿と変わらんし、脚だって超ミニスカートより激しく露出してるのに、ピンと来なかった。
それが今や・・・俺もオヤジになったんだろうなぁ。。

「隼雄さんも美大? 」
「え? あ、いや、普通の大学だよ。腕は、 プロにこき使われて磨いた」
「アシスタントとか?」
「うん。週4日通って月8万とかは、まだ人間的な生活だったけど、週5日泊まって毎日20時間以上、徹夜ありの働きづめで月給9万円とかねw」
「えー!? ありえない! それ法律のなんかで違法なんじゃない?」
「かもねー。俺の行ったところは貧乏クジだったかも。でも、一番キツかったところは、住み込みだし、食事は出るから暮らしてはいける。男ばっかのタコ部屋でさ、布団が湿気ってて、カバーが黒光りしてんのw 臭かったーw 
でも、毎日ありえないくらい描いて働いたから、すごい修行になったよ。あの時期が無かったら、今、プロとしてやっていけてないと思う」

「すごいなー」紗季ちゃんが、本当に尊敬してる感じでつぶやいた。

「ね、鎌倉行かない? 海見たい」紗季ちゃんがこっちに身体を寄せてきた! 顔が近いってば!
なんとか冷静に答える。「由比ケ浜? まだ冬だよー」
「いいじゃん、波の音、好きなんだー♪」紗季ちゃんは、嬉しそうに身体をリズミカルに揺する。
「時間大丈夫なの?」
「大丈夫! O駅で買い物して帰るって言ってあるし、まだ空明るいじゃん」
日がのびてきたこの季節に感謝w
「北鎌倉経由だと混むから遠回りするけど・・・」そういうつつ、間違えずに行ける良いルートがあるか、ちょっと心配な俺。
紗季ちゃんは即答で、「いいよ♪」今度は、ふとももを指先で、ドラムのようにペシペシ叩いているようだ。わき見出来ないから、よく分からんけど。
「あ、ごめん。車を降りて海を歩きたいんだったら、由比ケ浜で車を停める場所がわかんない。七里ケ浜で良い? 広い駐車場のあるコンビニに停められるから」何か買って、ちょっと停めさせてもらっちゃお・・・
「あ、ぜんぜん! いいよー。七里ケ浜の方がシブくて良いかも♪」ありがたい。助かるよ♪

T交差点を右に行けば家だけど、ここを横切ってから左折。
このT交差点は、面倒な構造の六叉路で、直進にも、その先の左折の仕方にも、ちょっと戸惑ってしまう。
俺の緊張感を感じたのか、紗季ちゃんは、それまでしていたおしゃべりを止めて、黙った。
空気を読める子なんだなぁ・・・

真っ直ぐな道、冴えない景色がひたすら続く。

「チィちゃん、憶えてる?」ボソッと紗季ちゃんがつぶやいた。
チィちゃんは、子猫の名前。
「小ちゃかったねぇ」答えつつ、俺は鼻の辺りがツンと苦しくなってきた。

紗季ちゃんが小2、俺は大学の頃だったか、
捨てられた子猫を紗季ちゃんが助けて、俺のところに連れて来た。
子猫はとても小さかった。お腹には、まだ毛が生えてなくて、へその緒が付いたままだった。
これは、捨てるのが早過ぎる・・・だめかもしれないなと直感した。
難しさは伝えなくちゃと思って「うまく育つかわからないけど、育ててみようか。そして。もし大丈夫になったら、もらってくれる人を探そう」と紗季ちゃんに言った。
紗季ちゃんは、うれしそうに、「うん!学校でいろんな人に聞いてみる!」と答えた。
目がキラキラしていた。

それから紗季ちゃんは、毎日、子猫を見に来た。
子猫をそっと抱いて玄関に出て、紗季ちゃんに見せた。
紗季ちゃんは目を輝かせて子猫を見つめた。
この子は、ほんと動物が好きなんだなぁ・・・
「名前付けたの?」いたずらっぽい表情をして、上目遣いで俺を見る。
「小さいから、とりあえず、チィちゃんって呼んでるよ。でも紗季ちゃんが名前を付けていいよ」と答えた。
すると、紗季ちゃんは、「エヘヘ」と笑い、「チィちゃん、チィちゃん」と呼びながら、なでなでした。

抱っこして、スポイトで子猫用のミルクを飲ませると、よく飲んでくれた。これなら育つかなと思った。

育て始めて4日目くらいだったか、紗季ちゃんがチィちゃんを抱っこしていたら、チィちゃんが紗季ちゃんの手にウンコをした。
うわー、マズイ! と思った。小さい子はウンコに過剰反応するものだから。
「洗おう!」って外の水道の所に連れて行ったら、紗季ちゃんは、ウンコをじっと観察している。
「チィちゃん、悪い事したーw でも悪い事だけど、悪い事じゃないw」と言って、紗季ちゃんはニヤーッと笑った。
チィちゃんを責めるかと思ったのに。紗季ちゃんは、俺が思う以上に優しくて大人だったのかもしれない・・・

1週間が過ぎた頃だったか、紗季ちゃんがチィちゃんを抱っこして、チィちゃんは仰向けに寝ていた。気持ち良さそうだ。
幸せな景色を眺めていたら、異変が起こった。
チィちゃんのおしっこをする辺りに突然血が溜まり始めた。最初は細い血管のような血の筋、そして、あっという間に血溜まりが出来てしまった。
内臓のどこか、あるいは血管が破裂したのかもしれない。これは助からないだろう。お医者に連れて行っても無駄だろうし、たぶん、その前に死んでしまう・・・

「紗季ちゃん・・・チィちゃんは、死んじゃう。せめて、優しくなでて、気持ち良く死なせてあげよう」
紗季ちゃんは、目をまん丸くして俺を見つめた。「死んじゃう?」
俺は、タオルを持って来て、チィちゃんの身体を包み、頭やのどをなで始めた。
チィちゃんが「ブーーーブーーー」と、モーターの振動音のような子猫の喜びの音を出す。
死にそうでも嬉しいんだな。かわいそうに。少しでも苦しみが軽くなれば・・・
紗季ちゃんもそっと撫でる。「ブーーーブーーー」という音が続く。
そして、死んでしまった。
紗季ちゃんは、「ううあああ・・・あああ」と、低く呻くように泣いた。

チィちゃんは、嬉しそうな安らかな顔をして死んだ。
「こんな、嬉しそうな顔をして死んだ子は初めてだよ。抱いてもらって、なでてもらって、きっと気持ち良くて、嬉しかったんだよ」
そう紗季ちゃんに言って、俺もチィちゃんをそっとなで続けた。
何匹かの子猫の死を見てきたが、実際、こんな安らかな死顔は初めてだった。
みんな、苦しそうな顔をして、そのまま固まってしまった。
医者に強引な治療をされて死んだ子は、可愛い顔立ちの子だったのに、怒り狂って死んだ虎のような壮絶な死顔だった。
あの顔を見てから、死ぬ時は、最期まで気持ち良く撫でてあげようと思うようになったんだ。

「お墓作らないとね・・・」まだ柔らかなチィちゃんをなでながら俺はささやいた。
紗季ちゃんも、無言でうなずいた。

板をのこぎりで切って、釘を打ち、フタ付きのお棺の箱を作った。
紗季ちゃんは、俺の横で体育座りをして、お棺作りをじーっと見つめていた。
チィちゃんを顔だけ出るようにタオルできれいに包み、お棺の中に寝かせた。
周りを木炭で囲み、顔の周りには、庭でつんできた花を添えた。

庭のすみっこに深い穴を掘り、中に石灰を撒き、お棺の上下には木炭を敷きつめた。
悪い腐敗や虫にやられるのを少しで防ぐために。

白いインパチェンスを3株、お墓の上に移植して、お線香を立てた。
出来上がったお墓を見ていたら、助けてあげられなかったチィちゃんが可哀想なのと、紗季ちゃんの心を傷つけてしまったことが申し訳なくて、俺の目から涙がツーッと落ちた。
紗季ちゃんは見上げて、俺の涙をじっと見ていた。
小さな手が、ギュッと俺の手を握りしめた。
紗季ちゃんは、「グヒッ!」としゃくり上げ、「あたし、おじちゃんと結婚するんだよ! 一緒に、猫の赤ちゃんとあたしの赤ちゃんを育てるよ!」と叫び、俺に抱きついて嗚咽した。

まるで高速道路みたいな60km道路を下りて、樹々に囲まれた古い道路を南下する。真っ直ぐ行けば腰越、そして海。
「今、ウチでも猫飼ってるよ」笑っているような泣いているような声で紗季ちゃんが言った。
「へえ、名前は?」今でも動物が好きなんだなぁ。良かった・・・
「チィちゃん・・・今、2歳だよ。もらい手が無い子猫を引き取った。隼雄さんと育てたチィちゃんが可哀想で・・・生まれ変わりだと良いなぁって。白くて、ちょっとだけキジの模様。あのチィちゃんとソックリなんだよ」
あぁ・・・あの頃の事を紗季ちゃんは憶えていたんだ・・・

なんだか、しんみりしてしまった。でも紗季ちゃんの今の俺に対する気持ちは、あの頃とは違うだろうし。
人生、いろいろ紆余曲折があって・・・

今、走っている道みたいに、暗くてわびしい所が続いたり、曲がりくねり、出口の見えないトンネルがあったり。

紗季ちゃんが、こっちを向いた。「クゥとピッピは元気なんでしょ? 玄関の網戸から外を眺めているのをよく見るよ。
呼ぶと「ミャー♪」とか「アーン♪」って返事する。昔はウチにも遊びに来てくれたのになぁ」
「あの頃は、放し飼いの猫も多かったね。でも今は、そういうことの出来る時代じゃなくなっちゃったよね」
「そうだね、ウチのチィちゃんも家飼い。時々脱走するけど♪」紗季ちゃんは、ウヒヒと笑った。

「クゥとピッピは何歳?」
「17歳だよ」
「え? あたしと同じだぁ!」
「人間にしたら、90歳くらいかな。野良だと6年くらいで死んじゃうらしいから、よく長生きしてくれたよね」
「すごーい! クゥとピッピは幸せだね♪」

腰越。海が近い。シラス丼が食べたくなった。今度食べに来よう。
左折して海沿いを走り、七里ケ浜のコンビニに着いた。

紗季ちゃんは、助手席のドアを開け、左足を地面におろし、身体を傾けて出ようとする。
うわ!一瞬パンツ丸見え。白かな黄色かな?薄暗くて色はよく判らないけど、お尻とパンツがリアルに見えた。
やっぱJKのスカートは短過ぎるよ。
なんか、可哀想だな。ミニスカートの流行なんか早く終わっちゃえば良いのに。
流行だから、ハブられないように嫌々はいてる子もいるだろうし。寒い季節まで頑張っていたら寒いし、身体に良いわけないよ。
あぁ、しかし目に焼き付いてしまった。
かわいいJKのお尻やパンツを目の前で見ちゃって、脳内が雑念いっぱい。こんなんじゃ事故りそうだ。。

車を降りて並んで店へと。
「おじちゃん、背、縮んでない?」
「おじちゃんはかんべん!」
「あ、ごめんw 隼雄さんw」
「縮んでないよ! 紗季ちゃんが大きくなったんだ。えっと・・・背は何センチ?」
「168だよ」
「大きいなぁ。かっこいいよね」なんとか褒め言葉を言ったw 
「168なんて普通だよ。クラスにもっと高い人が何人かいるし」
「へぇ」驚きだ。
「隼雄さんは何センチ?」
「171だよ。小さいよなぁ」
「大丈夫、普通だよ」
「普通? でも、並んでると紗季ちゃんの方が高く感じるよー」女の人って大きく見えるんだよなぁ。
「大丈夫!普通!」紗季ちゃんは、自分の言葉に「うん!うん!」とか相づちを打っている。何が大丈夫なのかさっぱりわからないけど、なんだか嬉しい。
手を繋ぎたいなぁ。無理だけど・・・

紗季ちゃんは、飲み物とアイスを物色している。
俺は、食玩の良いのは無いかなと・・・無い。。綾鷹(お茶)と骨つき鶏からあげを買う。
コンビニの敷地から湾岸道路の横断歩道を渡る。直ぐに砂浜。

あいにく灰色の曇り空。海が荒々しい。
「やっぱさむいねー♪」肩をすくめ、ニヤニヤする紗季ちゃん。
さむいよー。なのに紗季ちゃん、ガリガリ君をかじってるしーw

しばらく浜辺を歩き回ったら気が済んだらしい。
夕闇に、白くて長い脚が浮き上がって見える。若い子って綺麗だなぁ・・・
波の音が「ゴワー、ザワー」って寄せて返す。ほんと、心が癒される音だ。

骨つき鶏からあげを、コンビニ袋から取り出した。「食べる?」
「え?買ったんだ。 食べていい?」
「どうぞー」
「寒い時は、こういう方が良かったねーw おいしいっ♪」
二人で原始人みたいに骨つき鶏からあげをムシャムシャ食べるw
デートみたいだなぁ。俺、嬉しいよ。

「ねぇ、ずっと目線そらしてない?」紗季ちゃんが眉間に皺を寄せ、目を細めて、こっちをにらんだ。
あせった!
「うん・・・えーと、若い子ってさ、まぶしいんだよ」
ゴマカすのに適当な言葉も見つからず、やぶれかぶれになって、本音を答えてしまった。
紗季ちゃんは、ジーッと俺を見つめ、顔が赤くなって(薄暗いからよく判らないけど、顔色変わったw)、爆発しそうに顔がふくらんだ。
あ、笑いを耐えてやがるな。
それから紗季ちゃんは、なんとか普通の顔に戻し、「そうなんだ?…なんか嬉しいかな。でも、そういうのって一瞬だよね。あたしも直ぐに大人になるし」
そう言っている微笑みが、既にドキッとするくらい大人っぽかった。

空は暗く、潮風も寒さを増したような気がする。
「帰ろうか」
「うん」紗季ちゃんは、両手を袖の中に入れて腕をプラプラさせる。肩をすぼませて、小走りでついて来る。
振り返って海を見ると、広い景色に灯りも無くて、吸い込まれるような夕闇だった。

コンビニの駐車場に戻る。
車に乗り込み、エンジンをかける。エアコンが冷えた風をボワーッと吐き出す。早く温まれー。

「まっすぐ帰るよー。いい?」
「うん」紗季ちゃんは、なんか考え中な感じ。
とりあえず車を動かす。湾岸道路を右折。元来た道を帰る。芸が無いー。。

「髪が短い人…駅ビルで一緒に買い物をしているのを見た。家にも来てたでしょ?」怒ったような口調がちょっとコワい。
「どうやって彼女にしたの? 今は一人なんでしょ? なんで別れたの?」
「んー・・・押しかけ女房って知ってる? ・・・うん、そんな感じ。それで、まぁしばらくは恋人だったと思うんだけど、捨てられたw」

「どうして?」

「わかんない」

実は寝取られたんだけどね。こんな話は紗季ちゃんにはしない。

あの時の事が蘇ってきた。
彼女が電話で、ワアワア泣きながら「無理して好きになってくれなくてもいいのよぉ! 全部あたしが悪いのよぉ!」とか、悲劇のヒロインモード。
後日、喫茶店で話を聞き直してみたら・・・
料理は出来るし、何でも出来る俺と居ても、自分のやれることは何も無い。彼女の会社の先輩に誘われ、良いムードになったら無理矢理挿れられて、先輩に乗り換えたとのこと。その間、ずっと悲劇のヒロイン話。
「ふふん♪ あたしはいつも先に好きになって、それから惚れられちゃうんだよね♪ 近い業界だし、あなたの仕事は期待してる。これからも友達でいてもいいよ♪」なんて言いやがる。
まだ19歳のくせに、その居直った感じは、エロずるくて、場末の水商売のおばはんみたいな、モワーッとした腐敗臭が漂っていた。未練は無くなってしまった。
「さようなら。今までありがとう」と言って、深夜、40kmの道程を歩いて帰った。着いたら朝だった。
なんだかわけの分からない怒りが湧き上がって爆発しそうだったけど、ひたすら歩いていたら、どうでも良くなった。
歩くのって結構いいゾ。

嫌なことを思い出して、表情をこわばらせていたのかもしれない。
紗季ちゃんがこっちを見ているような。
でも、女の子と視線が合うのは苦手だし、運転は下手だから、よそ見は出来ない。
「その前に、他の人もいたよねw」
(え!? よく知ってるなぁ・・・)「あ、うん。振られたw」
「あーあw」 紗季ちゃんは苦笑しているようだ。

少し沈黙があって、俺は運転に集中した。
紗季ちゃんが、また口を開いた。「誰かに告ったことは?」
「無いよw」 焦って、車がちょっとよろめいた。なんでこんな事を話さなくちゃいけないんだ。。
紗季ちゃんが「うわぁ♪」って笑い、「なんで告ったことないの?」と、追い討ちをかける。
そうなんだよな、告ったことは無い。
「憧れてる人はいたけど、どうせ無理だろうって、いつも諦めてた」

「ふーん・・・うん、わかるよ。 ・・・で、女の人を乗せるのはあたしが初?」
「んー、そだね、お袋は乗せたけど」
「おばさんは別でしょw ごめん、彼女を最初に乗せたかったよね?」
「いやぁ、そんなことないよ。今日は、紗季ちゃんの足に使えて良かったよ」

彼女の家の前に着いた。日は落ちて、真っ暗で、街灯が白く輝いている。
ギアをパーキングに入れ、じゃあねと言おうとしたら、
紗季ちゃんが突然、「メアド交換しよう!」ぶっきらぼうなシブい口調。
うわー!嬉し過ぎるけど焦る俺。「赤外線? あ、ごめんやったことなくて、ごめん」
俺は普段、家でPCを使って仕事をしていて、外出は少ないから、使うのはPCばかりで、スマホの機能はほとんど解らない。。
「しょうがねえなあ・・・スマホ、これ赤外線機能無いの!?・・・」とか文句を言いつつ紗季ちゃんが登録をやってくれた。
「なに、このアドレス帳w 仕事とかばっかw 枯れてるー♪」ケラケラ笑ってる
なんか、死にたくなったw

「今度ドライブに行こうよ」紗季ちゃんが、携帯の画面を見つめながら、つぶやいた。
「んー、どこ?」
「油壺に行きたいかなー」
「シブいね♪」
「小田原とか箱根も。そうだ!小田原城で花見しよう!遠足で行って、あそこの城址公園好きなんだぁ♪ 隼雄さんは料理が上手だよね?知ってるよ!昔、何回も食べたし♪ 美味しいの作って! あたしも何か作る♪けっこう上手なんだよ♪」
嬉しいなぁ・・・
「でも、小田原は、ちょっと遠いぞー」
「いいじゃん♪ 朝イチから出かけようよ!」 
紗季ちゃんの顔がうれしそうに輝いている。顔、近いし。まぶしいよー。。

「そうだ。おばあちゃんもだよね?」紗季ちゃんと二人じゃたえられない。。苦し紛れに連れを求める俺。
「おばあちゃんはいいよw一緒だと、あちこち歩けなくなるし、おしゃべり過ぎるから、ちょっと疲れるw
おばあちゃんとはまた別の時にねw」眉毛を下げてヘナヘナと笑う紗季ちゃん。
うわぁ、でも二人だけで小田原はマズいでしょ・・・ほんとかよぉ?
アラサーが17歳を連れ回したら犯罪だー!
ほんの数年前は、ランドセルを背負ってた子じゃないか。高校生は無理だよ。。せめて卒業してからじゃないと・・・

「じゃあ」って降りる。今度はパンチラは無かったw
門を開けて家に入るのかなと思ったら、戻ってきた。

コンコンと窓を叩く。
窓越しに口びるを突き出してブチューッて。 なにすんじゃい! リアクションに困るわ。。
それから、ほっぺたを指でつまんで、ベーッと舌を出す。
美形な人は、こんなに顔を崩してもかわいいんだなあと、感心しつつも、
対応に困った俺は、たぶん顔をクシャクシャにして、泣き笑いのような表情になっていたと思う。
そしたら、紗季ちゃんは、ニヤッと笑って口を動かした。
かすかに、「またね」って聞こえた。

まさか、気があるのかな? 誘ってくれているのかも・・・
いや、ありえねえorz
孔明の罠だな。
いい歳こいた男が、その気になってJKに告って拒否されたりなんか、近所に知れたら、もうこの町には暮らしていけないよ。。

パンツ見てしまってスマン。ふとももだけでも、まぶし過ぎたヨ。会話楽しかった・・・
紗季ちゃんは良い子だ。 あんな子は絶対に幸せになって欲しい。
とりあえず、取りたくもない免許を取らしてくれちゃった親達に感謝かな。
素敵過ぎるひとときだったよー。

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来週末に、ららぽーとかズーラシアに行こうってメールが来た。
嬉しい。でも二人っきりはなぁ・・・
あっち方面の道路は未知でコワいし。。
4 12月

女子高生にスライディングしたら付き合うことになった話

もう6年前の話かな。
仕事が休みだったもんで、友達と飲みに行ってて2件目に行こうと
飲み屋を探し歩いてる時だった。
商店街を歩いてたんだけど、前方にJK発見wwww
ミニスカおいしいれすwwww

友「いやあ、こんな時間にけしからんですなww」
俺「ええ、そうですなwwww」
友「これはお仕置きが必要ですなwwww」

多分、いい感じに酔ってたのもあるけど、立派なDQNなもんです。

俺「なにすんだよww」
友「こうすんだよwwww」

急に走り出す友wwww

なにやってんだwwとか思って笑いながら見てると
女子高生の3m後ろくらいでヘッドスライディングをかます友wwww
しかし女子高生は気付かず、駅のほうへ向かっていく。

振り返った友と目が合う。
アイコンタクトが「お前もやれ」、そう告げていた。
アルコールとは怖いもので、気付いた時には走り出す足を止められなかった。
次の瞬間、スライディングをかました俺の視界には
JKの太ももが飛び込んでいて、そこはまるで天国のようだった。

その瞬間までは確かに俺は天国にいたのだ。

さすがに物音に気付いたじJKが振り返る。
スライディングの体制のままの俺と目が合う。

俺「あ、ども。さむいっすね」

無言で走り出すJK。
おそらく彼女とって、これほどまでに不愉快で不思議な週末はなかっただろう。

ここで追いかけては男の名が廃る、と友と2件目に行こうと
立ちあがり仕切りなおそうとしたとき後ろから声をかけられた。

「君たち、ちょっといい?」

お巡りさんが現れた!

俺「よ、よくないです」
警察「よくないことないんだなー。
   君たち今なにした?」
友「スライディングの練習っす!」
警察「人に向かって? とりあえず交番まで行こうか」

このあとしこたま説教と持ち検くらって自宅に帰ることになりました。

まぁ、酒の失敗なんかは結構すぐに忘れるもんで
次の日にはけろっとJKのことも忘れて仕事にいそしんでいた。

JKにスライディングをかました翌週の週末。
当時付き合ってた彼女とカフェで一服をしようと入ったんだよ。
頼んだコーヒーを持って現れた店員。

店員「お待たせしまし…あっ」
俺「は?」
店員「スライディング男…」
俺「え…」
彼女「すらいでぃんぐおとこ?」

最悪の再開である。

もしも神様がいるとするならば、とんでもなくドSなやつだと思った。
とりあえず状況が飲み込めてない彼女はおいておいてJKに目で
この状況がよろしくないことを訴える。

俺「(あれは一夜の過ちだったんだよ…)」

俺の目力が伝わったのかどうかは知らないが
JKはコーヒーを置いてこの場を立ち去ってくれた。
ここからがめんどくさかった。

彼女「ねえ、スライディング男ってなに?」
俺「さ、さあ? 人違いかなんかじゃないかな?」
彼女「俺って隠し事するとき、口調が丁寧になるよね」
俺「そんなことないわ、ぼけこら?!」
彼女「ばかなの?」

散々問い詰められゲロッてしまった俺。
般若のような顔をした彼女。※なおスッピンは変わら(ry

JKのもとに謝りにいくという公開処刑の始まりです。
悪いことをしたら謝る、小さい頃に教わった当たり前のことが
だんだん大人になるとどうして出来なくなるんでしょうかね。

ただ、その日は結構お店も繁盛しているように見えたから
後日見かけたときに謝るということで手を打ってもらった。
その彼女には結局翌月振られるんですけどねww
他に好きな人ができたってなんだよwwww
明らかにスライディングの話が出てきてから余所余所しくなってたじゃねえかww

スライディングは恋人関係もときには壊します。
よいこはマネしないでね☆

さて、JKに謝るという当初の目的は反故になったわけじゃないから
謝ろうとたびたびそのカフェを利用するんだけどなかなか見かけない。
が、かの会いたくて震えちゃう西野カナ氏の気持ちはやっぱり分からない。

もうこの時にはなんとなく謝るという目的よりも
ただちゃんと話がしたいという願望に変わっていたような気がする。

まあ、縁がなかったんだな、と諦めかけてた頃。
昼休みに昼食を食べに友とファミレスに行ったんだ。

友「またあのJK会えないのかなww」
俺「もういいよwwあれで振られたようなもんだしwwww」
友「責任転嫁もいいとこだろww」
俺「もとはと言えばお前が…」

彼女に振られたのもだんだんと笑い話にできるようになってた。

友「次、もし会えたなら連絡先聞いちゃえよww」
俺「だから会えないってwwそれに今度こそ捕まるww」
友「俺は運命の赤い糸がうんたらかんたら」
俺「もう顔を覚えてるかすら怪しいし」

昼時のざわついたファミレスで
近くの席から聞いたことがある単語が聞こえてきた。

「この前のスライディング男とどうなったの?ww」

偶然とは重なるものである。

友「こwwれwwはwwww」

この男、ものすごく楽しそうである。

友「右斜め後ろ、いけwwww」
俺「まじで勘弁してくれ」
友「向こうも2人みたいだし、俺も一緒に行ってやるからww」
俺「普通に怖がるだろ」
友「大丈夫だって!」

そう言い残し立ちあがった友。
右斜め後ろに振り返れば、おそらくあのJKがいるのだろう。

友「スライディング男の友達の友でーす!
  ちょっと時間いい?」

まじかよ…。
ますます振り返れなくなった状況に唖然としながら
ドリンクバーで作ったキューピーを一気飲みした。
汗がハンパなかった。
この世で俺以外にスライディング男と呼ばれている男が他に居てほしかった。

友「おい、スライディング男wwこっち来ていいってww
  ラストチャンスだぞ!」

頭を抱えていると満面の笑みで戻ってきた友。
なぜか隣にはJKと一緒にご飯を食べていたであろう友達。
手が早いとはこういうことを言うのだろうか。

もうどうにでもなれって吹っ切れてきてとりあえず振り返ってみる。
右斜め後ろには間違いなくJKがいた。
ものすごく困った顔をしてうつむいていたと思う。

友は早く行けと言わんばかりに、JK友を隣に迎え談笑を始めていた。
仕方なく席を立ちあがり、JKの居る席に向かう。

俺「すいません…スライディング男です…」
JK「あ、はい…w」

かすかにJKが笑ったように見えた。
うつむいたままだったからよく分からなかったけど。
ただそれが嬉しかった。
初めてスライディング男であることを誇れたような気がした。

謝るなら今しかないと思った。
なんてったって長渕の西新宿の親父の唄が頭の中で流れているんだもの。

俺「あのときはほんとにすみませんでした!」

やるなら今しかねえ。

JK「もういいですよwwなかなか笑い話になりましたしww」

こんな俺でもJKの話題の一部になれたと思えばちょっと興奮した。
立派な社会貢献をしたような気持ちになったのはなぜだろう。

なによりこのJK笑うとすんごい可愛いww
美人系の顔なんだけど笑うとまだあどけなさが残ってんのww

俺「そんなそんな…なんだったらまたしますよww」
JK「真剣にやめてください」
俺「あ、はい」

やばい、話題が途切れたwwと焦っているとJKのほうから切り出してくれた。

JK「そういえば一緒にお店に来てくれた彼女さん?とはどうですか?」
俺「いや、あのかくかくしかじかありまして…」
JK「振られちゃったんですか?」
俺「はい…やっぱりスライディング男が彼氏だと嫌なんですかね…」
JK「wwww嫌でしょ、やっぱりwwww」

JKで毒舌って…これなんてエロゲ?

俺「名前教えてくれますか?」
JK「やだよwwスライディング男に教えるとかwwww」
俺「うぐぐ…」

方や左斜め前では友はJK友と連絡先を教えあってる模様。
方やJKの小悪魔っぷりに興奮している模様。

JK「冗談だよww美咲って呼んで!(伊藤美咲に似てたからねww)」

俺「俺の名前は…」
JK(以下美咲)「いや、また今度でいいよwwしばらくはスラ男って呼ぶww」
俺「略すなよ…」

おや、スライディング男のようすが…

スライディング男はスラ男に進化した!

…ん?ちょっと待て、また今度だと?

俺「また、今度って…」
美咲「またこうやって偶然会えたらねwwそのときは名前教えてよ!
   会えなかったらそこまでってことでww」
俺「そ、そうだね!」

なぜか大人の余裕を醸し出そうとしたスラ男。

美咲「じゃあね、スラ男ww」

結局連絡先は聞けずじまいで、友達を連れて帰ってしまった美咲。

友「なんだよー、連絡先は聞けず?」
俺「連絡先どころか名前も教えていらないって…」
友「でもスラ男になったんだろww仕事戻るぞスラ男ww」

なぜかこの日から友にまでスラ男と呼ばれ続け、はや6年。
月日の流れとは早いものです。

この日をさかいに友はJKとデートを重ねていたらしい。
突っつかずとも惚気を吐き出しまくる友にうんざりしつつ
美咲にどうやったら会えるかと、そればかり考えていた。

カフェに通うのも1つの手だろう。
だがそれはフェアではない。
あくまでも偶然でなければ意味がないような気がした。
そんなことを考えていると結局会うか会わないかじゃなくて
会えるか会えないかの偶然に期待するしかなくて堂々巡りを繰り返していた。

ファミレスで会ってからもう3カ月がたとうとしていた。
学生時代からたまにアコギ1本持って駅前に繰り出して弾き語りをしてたんだけど
ふとその日、弾き語りをしにいこうと思って直帰してアコギを抱えて駅前に行った。

衝動的なものだったのか、人目につくから気付いてくれるのを期待してかは
今になっては分からないけど多分答えは後者だったんだろうと思う。

確か歌うたいのバラッドとか歌ってたww
ベタ過ぎワロリンwwww

だいたいの人はちら見だけして通り過ぎて行くんだけど
中には足を止めて聞いてくれる人もいて10人程度の人だかりになってた。
弾き語りを終えて軽くお礼だけ言うとその人だかりも散って行った。

「よっ」

少し離れた所から制服姿の女の子が歩いてきた。
もう間違いなく美咲だった、そうじゃなくてもそう思いたかった。

俺「え?」
美咲「やるじゃん、スラ男ww」
俺「俺、名前1だから!」
美咲「はやいはやいww1ね、覚えとくww」

だいぶんフライング気味だったwwww

美咲「んでんで歌うたいのバラッドは誰に向けて歌ってたのかな?ww」
俺「べ、別に誰にでもないよww」
美咲「まwさwかwwわたしに?wwww」
俺「だから違うって」
美咲「ムキになんないでよww冗談じゃんwwww」

いつの間に美咲優位の関係になっていたのだろうか。
純粋に俺を変質者だと思って怖がっていた美咲はどこに行ったのだろうか。

美咲「しかしまた会えるとは思わなかったなー」
俺「運命だよ運命!」
美咲「はいはいww」
俺「そういやいくつなの? そろそろ帰らないと補導されるぞ」
美咲「17だけどいいじゃん、そんなのww1には関係ないし」

なぜか答えを濁した美咲。

美咲「せっかく会えたことだし、もう1曲なんか弾いてよww
   そしたら連絡先教えてあげる」
俺「…リクエストは?」

プライド、というものを小一時間ほど当時の俺に説いてやりたいww
いわばいい大人が子供に入れ込んでるわけだからね。

美咲「スラ男の唄!」
俺「そんなもんあるかww」
美咲「作ってよwwwwしょうがないなあ、ミスチルのシーソーゲームで勘弁したげる!」

弾いたことのある曲だったんで、うろ覚えながらも弾いてみた。
恋なんていわばエゴとエゴのシーソーゲームなんですよね、分かります。

美咲「んじゃそろそろ帰るねー。あ、これ番号。気が向いたら出たげるww」
俺「気が向いたらかよww気をつけて帰れよ」
美咲「ねえ、さびしい?ww」
俺「分かったからwwww」

美咲はちょっとふてくされた顔をしながら帰って行った。
俺も帰るかと片づけをすませ、美咲の携帯番号が書いてあるであろう紙切れをみると
どう見ても家の番号でした。

うそーん。
かけにくいどころか、親が出たらどうすんだよ、これ。
電話する気ないだろ、これ。

家に帰ってからも紙切れの電話番号と睨めあっこを続けていた。
まあ、時間が時間だしと適当に理由をつけて電話をかけるのはやめておいた。
それからはまた今度また今度、の繰り返してなかなか踏み出せずにいた。

そんなことを繰り返して1週間。
知らない番号から電話があって、怪しみつつも電話に出た。

俺「はい、もしもし」
美咲「なんで電話してこないんだよー」

声を聞いた瞬間美咲だと分かった。
どうやらファミレスで一緒にいた友達から友伝いに聞いたらしい。

俺「だってあれ家電でしょ…」
美咲「スラ男ならかけてくれるって信じてたのになー」

なぜかスラ男に降格した俺。

俺「家族の人が出たら気まずいし」
美咲「そうだよねー。今日予定は?」
俺「仕事が終われば特にないけど」
美咲「じゃあ仕事終わったら駅の南口で!」

そう言って電話は切れた。
終始美咲は不機嫌でどうしたものかとも考えたけど
なにより会えることが決まって喜ぶ気持ちのほうが大きかった。

ノリノリで仕事を終えて駅の南口に向かう。
昼休みに洗車機かけて車内の掃除までしたwwww
おんぼろのサニトラが喜んでいるように見えたwwww

確か19時くらいだったかな、駅前のロータリーに横付けして美咲に電話をかけた。
すぐに分かったみたいで小走りで美咲はやってきて助手席に乗り込んだ。

美咲「なんか軽トラの車高が低くなった感じ?ww」
俺「まあそんな感じだわなwwどっか行きたいとことかある?」
美咲「特にないんだよねww適当に走らせてよ」

適当って1番難しいと思いつつ
海沿いの道を流して夜景の見える小高い丘までドライブという
とてつもなくベタかつ個人的にはベストなドライブコースを選択したww

道中の会話は特に変わったことはなく
互いの趣味の話とか当たり障りのない感じだった。

途中で買ったコンビニ弁当を夜景を見ながら荷台で食べていた。
もう秋の始まりくらいの時期で夜風が心地よかったのを覚えてる。

美咲「なんかいいね、こういうのww」
俺「女子高生にも分かるかww」
美咲「なんかロマンって感じwwww隣がスラ男じゃなかったら最高ww」
俺「あのなあ…」

美咲「あのさ」
俺「ん?」
美咲「なんでスライディングしてきたわけ?ww」

スライディングにわけがあるとするならば
それは野球をしている子が次の塁を狙う以外に理由があるというのだろうか。
女子高生の太ももを近くで見たいという理由でスライディングすることは
世間的に認められる行為なのだろうか。

俺「ふ、太ももが近くで見たくて…」
美咲「そんな理由で?ww」
俺「というか悪乗りってやつ?」
美咲「ほんとに怖かったんだからねww」
俺「ごめんなさい…」

美咲「でもこれはこれで悪くないかもねww」
俺「え?」

サニトラ、ごめん。
今までずっと我慢してたけど、俺お前の荷台でいちゃいちゃするのが夢だったんだ。

なんてさりげない美咲の一言にときめいて
ばかなこと考えてたと思う。

すぺっく


当時26
180/70
斎藤工?を残念な感じにしたら、俺になるらしいww

スライディングは、足からいったよww
伸ばしてた足が当たるか当たらないかのところまで滑り込んだから、そら気づくわなww

スライディングするのは勝手だが、このスレから犯罪者は出したくないからなww
俺が言えたことじゃないかwwww

俺「おっさんをからかうなよww」
美咲「えー、楽しいじゃんww」

やるなら今しかねえ。
やるなら今しかねえ。
66の親父の口癖はやるなら今しかねえ。

気づいたときには、抱きしめていました。
女子高生の太もものぞいて、抱きしめて立派な犯罪者です、ええ。
が、何故か抱きしめられたままの美咲。

俺「あ、あのー…」
美咲「スラ男のくせにやらかしたね」
俺「お、おこってます…?」
美咲「加齢臭くさいのが嫌!」
俺「ごめんなさい…」

26で加齢臭…とへこみ倒すものの、まだ抱きしめたまま。
かたや女の子特有のいいかほり。
かほりにやられておじさん…ふぅ。

さて離すにも離せず、抱きしめるのにも加齢臭くさい俺。
八方塞がりってやつです。
少しでも動けば、そりたつマイサンがいたいけなJKに触れて爆発してしまいそうでした。

美咲「スラ男のくせに…」
俺「ん?」
美咲「スラ男のくせに…」

何故か泣き始めた美咲さん。
もうどうしていいか分からなくなって頭の中はパニック。

美咲「こんなことまでしといて、なんか言うことないわけ?」

俺「スラ男はあたなが好きです」
確かすごいどもりながら言った。
これでもかってくらいにかんだ。
それでも精一杯の告白だった。

美咲「知ってる。だからなに?」

こいつ、鬼か。

なにか自分の中で切れたような音がしました、ブチッと。
言わばアキレス腱を切ったことがある人なら分かるでしょう。
そればりの音が俺の中をこだましました。

俺「だからなに?じゃないだろ!
知ってるなら分かるだろ!
黙って俺と付き合えください…」

怒ったこととか滅多になかったから、後半はかなり尻すぼみでしたww

美咲「なんだww言えるんじゃんwwww」

急に笑いだす美咲。
おまえらに聞きたい、どうして女は感情がこうもすぐに変わる?
教えてエロイ人。

俺「笑いたきゃ笑えよ」
美咲「そうやって気ぃつかわなくて怒っていいんだよww」
俺「別に気なんか…」

美咲「わたしの中ではもう変質者じゃないし。
まあ、いつまでたってもスラ男だけど好きだよww」

こいつ、天使か。

美咲「俺さん、わたしで良かったら付き合ってください」
俺「ふつつかものですがよろしくお願いします!」
美咲「逆逆wwwwそれわたしのセリフwwww」

とにもかくにも美咲と付き合うことになった俺。
ぶっちゃけものすごい勢いで浮かれてた。

俺「あー、もう9時じゃん。家まで送るよ」
美咲「門限とかないから別にいいよwwww」
俺「いや、それはだめ。俺が捕まっちゃうww」
美咲「じゃあスラ男の家に行こう!そうしよう!」
俺「自分の家に…」

途中で会話を突っぱねられ、車に乗りシートベルトをしめだす美咲。
とりあえず駅前でもう1度説得しようと来た道を戻ることにした。
すごい浮かれて嬉しいはずなのに
なんだか気持ちが晴れなくて、もやもやしてたと思う。

駅前について説得を試みるもやっぱりだめ。
置いて帰ることもできたけど、それも心配で出来ずに
結局帰路についておりました。

まあ、家に帰りたくない時期なのかなー
俺にもそんなことがあったなー
なんて考えたいんだけど、なんか微妙に違った。
大事にしたいっていうのは建前で、やっぱり自分の身の保身もあったと思う。

美咲「うわー、普通のマンションww」
俺「男が1人で暮らす分には十分なんだよ」

ほんとに普通のワンルームマンション。
なぜかシャワールームだけ微妙に外から覗けるラブホ仕様wwww

俺「えーっと、どうする?」

ベッドの上でごろごろしている美咲に比べ、どうにもこうにも落ち着かない俺。

美咲「どういう意味、それwwww
   先にシャワー浴びる?とかそういうの?wwww」
俺「そんなんじゃなくて…」

美咲「意気地なしwwww
   じゃあちょっと話聞いてよww」

性欲も行き過ぎると消沈する、不思議なもんです。

美咲「スラ男の家族構成は?」
俺「なに、このお見合い的なノリはww」
美咲「いいから答えてよ」

美咲がすっごい真剣な顔してたのを覚えてる。
なんか顔見て話すのもためらうくらいに。

俺「普通の親父に普通のおふくろに、放浪癖のある兄貴」
美咲「放浪癖ってww」
俺「いや、今もどこに居るか知らないしww
  というか質問の意図がいまいち…」
美咲「いいなー、スラ男の家族にいれてほしいなー」

事の核心には触れそうで、触れれない距離な気がした。
深入りしていいのかだめなのか、判断が難しかった。
それでもただ待つのももどかしかった。

俺「美咲のとこはどんな感じ?」
美咲「姉ちゃんと2人。
   ただの同居人って感じで家族には程遠いけどww」

半笑いの美咲の目からは涙が流れていた。
スラ男君、どうやら地雷を踏んだ模様。

俺「同居人って…」
美咲「いや、ほんとにww
   姉ちゃんはひっかえとっかえ男連れ込んでくるし
   家にいるのに全然落ち着かないww」

なんでか胸が痛んだ。
家に帰りたがらない理由がなんとなく分かったのに
同時に俺ができることなんて大してないことも分かってしまった。

美咲「別に愛がほしいだとか、そんな悲劇のヒロインみたいなことは言わないからさ
   ただスラ男には一緒に居てほしいって話。
   ていうかわたしで良かったら一緒に居させてほしい」

少し前まで自分の身の保身だとか考えていた自分がばからしく思えた。
もとはと言えばスライディングした時点で捕まって人生詰んでても
おかしくなかったと考えれば、この先なにが起きても大丈夫な気がした。

俺「今から出るぞ。車出すから家教えて」
美咲「なに急にwwわたしがしおらしくしてみたら男らしくなっちゃってww」
俺「いいから」

思わず美咲の手を引いちゃって家を出て車に乗り込んだ。

車の中ではなに話したらいいか分からず
ただ道案内している美咲に返事するだけだった。
以外に家は近所で車で10分弱の距離だった。

着いた、と言われたそこは超高層マンションww
お嬢様かこいつ。

美咲「ほんとに行くの?」
俺「うん」
美咲「多分姉ちゃん男としてるよ」
俺「え」

それはまずい。

美咲「ね、やめとこうよ」
俺「ここまで来て退けるか」

スラ男、プライドはないが意地はある模様。
けーっして姉ちゃんの性事情が気になるとかじゃないんだからねっ!

しぶる美咲を連れて、部屋まで案内してもらって
玄関の扉を開けてもらう。
人の声はせずにまずは一安心。

扉が開く音に気付いたのか、奥の部屋から姉ちゃんが出てきた。
さあ、勢いでここまで来たけどどうしたらいいかすごい悩んでたと思う。

美咲姉「彼氏?」
俺「あ、ども。スライディング男です」
美咲姉「は?」

すごい勢いですべった。
美咲にかましたスライディングよりもものすごい勢いですべった。
というか予想より美咲姉が普通の人で焦った。

俺「すみません、美咲さんとお付き合いさせていただいている1というものです」
美咲姉「で、なにしにきたの?」

なんか嫌悪感丸出しの美咲姉です。
後ろでは俺のシャツのすそを美咲が握っておりました。

俺「お話をしようと伺いました。
  美咲さんをしばらく僕の家に泊まらせてもよろしいでしょうか?」
美咲姉「いや、あんたさっきからなんのなの?
    美咲も後ろで黙ってんじゃないよ」

しょんべんちびるかと思った。

美咲「もうこんな家にいるの嫌なの」
美咲姉「だから男見つけて寄生しようって?」
美咲「そんなんじゃないもん!」

壮絶な姉妹喧嘩が始まったようです。
手も足も口も出ずに立ちつくす俺。

美咲姉「別にあんたがどこに住もうが知ったこっちゃないけど
    あとで泣きを見ても知らないからね!
    今から男来るからもう出てってよ!」

最後の最後でヒスかまして、俺と美咲を玄関から突き出す美咲姉。

俺「俺が美咲の居場所になりますから!」

やっと言えた一言がこれでした。
ただ後味の悪さは半端じゃなかったように思う。

美咲「スラ男やるじゃん、かっこよかったよ」
俺「え」

助手席にあった美咲の顔がなぜか俺の顔の前に。

スラ男、女子高生にキスされたでござるの巻。
時間が止まるって感覚を初めて味わったwwww
やっぱり若い子の唇は柔らかい、ような気がした。

美咲「ご褒美ってやつ?ww」
俺「もうなんか台無し」

互いに緊張がほぐれたせいか帰りはえらく会話がすすんだ。
キスのせいでまた別の緊張はしてたけどねwwww

俺「ていうか、着替えとか日用品は?」
美咲「あちゃー全部家だ。明日買いに行くから付き合ってよ」
俺「仕事終わりになってもいいなら!」

なんかいろいろ段階はすっ飛ばしてるような気もしたけど
それでもこれから始まる暮らしにドキドキせざるを得なかった。
家に帰ってからも話は尽きなかった。
普段俺が着てるスゥエットを美咲が着るとぶかぶかで
それがおかしくて笑いあったり、翌日も仕事だったのに朝まで話し込んでた。

なんだか一緒に寝るのはまだためらわれて
美咲はベッドで、俺はソファーで寝た。

美咲に体を揺すられて目が覚めた。
いやあ、夢か現実か疑ったねww

美咲「ご飯できてるよ!」

普通にトーストとインスタントコーヒーだったけど、格別に美味しく感じた。
恋が最大の隠し味ですってか、やかましいわww

しばらくしてそろそろ家を出る時間になった。

俺「じゃそろそろ行ってくるわ。
ちゃんと学校行けよー」
美咲「はい、行ってらっしゃい。
あ、待って!」
俺「ん?」

通算2度目のキス。
しかも行ってらっしゃいのキス。
真剣に夢なんじゃないかと疑った。
たまらなくなって美咲を抱きしめると柔らかくて
やっぱり夢なんじゃないかと疑った。

それから自分でも驚くほど生活に変化があった。
まず部屋がきれいになって明るく?なった。
すごいいいにおいがするようになったww

仕事から帰れば美咲がご飯作って待ってくれていて
たまには友達と遊んでこいよって言っても、必ず俺が帰る頃には家にいた。
週末はいろんなところに2人で行って
誕生日を祝ってみたり、美咲の学校行事に参加したりもした(父兄ってことでww)

たまに美咲姉のところに行って美咲は元気にしていることを
伝えようとするも基本的に居留守を使われて取り合ってくれなかった。
これ以外はすべてがうまくいってて、本当に幸せな日々だった。

美咲も3年生になって、進路のことも気になってさりげなく聞いてみたんだ。

俺「お前進路どうすんの?」
美咲「ひみつ?のあっこちゃん!ww」
俺「いや、茶化すなよ」

進学するならするでそれもいいと思っていた。
もしかしたら美咲を家に閉じ込めてしまったような
そんな罪悪感を感じていたからなのかもしれない。

美咲「なによもうww就職するよ!」
俺「進学は?したいこととかあるんじゃないの?」
美咲「ほんとになにwwなんかあやしいぞ!浮気でもした?ww」
俺「違うけど…」

うーん、女の勘ぐりは半端ないです。

美咲「別に進学できる頭もあるしお金もある。
   わたしがしたいことは進学じゃなくてスラ男といること。
   それが1番の幸せだよ!とか言っといてあげるねwwww」

こうやって言われちゃうと言い返す言葉もなく。
ただ希望している就職先までは教えてくれなかった。

冬になってすぐ美咲の就職先が決まったらしい。
駅前でスライディングをかました女子高生が社会人になると考えたら感慨深かった。
俺にも三十路の足音が徐々に近寄ってきていて切なかった。

そんな2月の終わり。
美咲の卒業式に、最後の女子高生姿を見ようと参加しておりました。

美咲「出会ってもうすぐ2年だってww」
俺「JKブランドにもさよならですねwwww」
美咲「もうスライディングしてくれない?」
俺「一生で1回したら充分だろwwww」

道中、思い出話に花をさかしていた。
式も滞りなく進んだんだけど、保護者の観覧席の隅っこに見たことある顔を見つけた。
一瞬目が合って、その人は逃げるように体育館から出て行ってしまった。

間違いなく美咲姉だった。

ちょうどタイミング的に卒業生が退場しようとしているところで
追いかけるに追いかけられず、すごくもどかしかった。

もう1度ちゃんと話をしたかったと思いつつも
式が終わって出てきた美咲とその友達の盛り上がりように圧倒されていた。
さすがに今日は友達とゆっくりしてほしかったので
美咲に一言だけ残して学校を後にした。

家に帰ると久しぶりに1人な気がして、なんとも言えない気持ちになった。
確か日付は変わる前に美咲は帰ってきたと思う。

俺「おかえりー。改めて卒業おめでとう!」
美咲「姉ちゃん来てたみたいだね」
俺「あー、うん。目だけあった。すぐ帰っちゃったけど」
美咲「卒業式が終わってちょっとしてメール来てたよ。
   スライディング男くんによろしく、ってww」

なんだか認められたような気がして、嬉しくてとび跳ねた。
下の階の人に床をドンドンされた。

春になって、うちの会社にも新入社員がちらほら確認できた。
基本的に現場で仕事してるもんで、
新入社員の指導にあたっていてあたふたしてた、そんなときだった。

友「お前も隅におけんのうww」
俺「は?」
友「とぼけんなよww」
俺「まじでなんの話?」

急に突っかかってきた友の話に理解ができずに戸惑ってた。

友「じーむしょ」
俺「事務所?」
友「あれ?まじで知らんの?」
俺「だからなにがww」
友「取りあえず事務所行ってみろよwwww」

とにかくにやにやした友が印象的だった。

事務所になんて滅多に行くことないから、ちょっと緊張しつつも事務所に入る。
周りを見渡す。
相変わらずおば様方のエデンとかした事務所。

美咲「よっ!」

うそーん。
まさか、と思いつつも、忘れ物を届けにきてくれたのかと考える。
でも着ているのは会社の制服。

美咲「今日からお世話になります、美咲です。
至らないところばかりですが、ご指導のほどよろしくお願いしますwwww」

おば様方にやにや。
美咲はしたり顔。

昼頃には同僚にもこの事実が知れわたり、好奇の目にさらされました。
これだから零細は…。

とんでもないことになったと思いながら、仕事を終えて帰宅する。
美咲は夕飯の支度をしているところだった。

俺「あれ、どういうことだよ」
美咲「おかえり!サプライズ的な?ww」
俺「勘弁してくれ」
美咲「未成年と付き合った次は、社内恋愛ですかww
背徳感しかないね、スラ男ww」

誰のせいだよ…。

美咲「いやあ、しかしバイトとは比べ物にならないくらいしんどいね」
俺「そんなもんだよ」

しんどいと言いながらも、楽しそうに仕事の内容を話す美咲。
それを見ていると怒る気にもなれず、これはこれで良かったのかなと思うことにした。

しばらくの間はばたばたしてたけど、だんだん生活も落ち着いてきていた。
気付けば夏になっていて、お盆に実家から帰ってくるようにと
催促もあり、美咲の紹介も兼ねて俺の実家に行くことにした。

美咲「スラ男の実家かー、お兄さんいるかな?ww」
俺「いや、いないだろww」
美咲「早くお母さんと話してみたいなあ。
スラ男の小さいときの話とか聞いてみたい!」
俺「なんでもいいけど実家でスラ男とだけは呼ぶなよww」

確かこんなことを話ながら
車で4時間くらいの距離を走らせてた。

2年ぶりくらいに実家の玄関を開けた。
久しぶりに実家に帰るのって妙に緊張するんだよねww

俺「ただいまー」
美咲「お邪魔しまーす!」

リビングからものすごい勢いで足音がしてきたww
そんな息子の帰りが嬉しいか、このやろうwwww

母&父「おか…若っ!」
俺「あれ?俺若返った?ww」
母「あんたは黙ってて!」

ふぇぇ…久しぶりに帰ってきたのに喜ばれてないのはなぜ。

美咲「初めまして、1さんとお付きあいさせていただいてます美咲というものです。
これからよろしくお願いします」

猫かぶってんじゃねえよwwww
そして涙ぐみだすおふくろ。

母「1…1…」

なんなんだよwwww

長時間の運転で疲れていることもあって、リビングでごろごろしていた。
遠目でだけどおふくろと美咲がキッチンに並んでる姿を見てすごくほっこりした。

しばらくして夕飯がテーブルの上に並びだした。
家は親父が呑むから、結構早くから出てくるんだよね。

おふくろが嬉しそうに「これは美咲ちゃんが作ってくれたのよ」
って親父に説明していたのを覚えてる。
そしてテーブルの真ん中を陣取る赤飯。
…いやいや、それはやりすぎだろwwww

父「じゃあ…今日は美咲ちゃんに乾杯!」

あくまでも美咲が主役なんですね、分かります。

いい感じに美咲以外のみんな酔いだして、親父とおふくろから質問攻めをくらってた。

母「ところで美咲ちゃんは何歳なの?」
美咲「先月19歳になりました」
父「え?!じゃあ半年前まで高校生?ww
いいなあ、おじさん嬉しいなあwwww
こんな若造やめて、おじさんに乗り換えない?ww」
母「あなた、ちょっと」
父「」

母強し。

母「じゃあ馴れ初めは?ww」

美咲「1さんにスライディングされたのが始まりですね!」

…それはいかんでしょう。

俺「み、美咲さん…」
母&父「美咲ちゃんkwsk」

まずはリアルなやつは手ぇ叩けー!
これが公開処刑なんだね。
KJの気持ちが少し分かった気がするよ。

美咲「酔っぱらった1さんがわたしの太ももみたさにスライディングしてきたんですよww
びっくりしますよねwwww」

母「あんたって子は…親の顔が見てみたいわ!」

間違いなくあんただよ!

母「あんたは昔から女子トイレ覗いたり、
女の子のリコーダー舐めたりして呼び出しくらって…全く成長してないのね!」

…それはもっといかんでしょう。
でも今だから言える。
今も昔も変わらず俺はHENTAIでした。

美咲「なにそれ聞いてない」

誰が彼女に女子トイレ覗いたり、
女の子のリコーダー舐めたりして呼び出しくらったことを言うものか。

母「こいつはそんな男なのよww」
美咲「スラ男さいってー!」

ス、スラ男とだけは呼ばない約束じゃorz

父「スラ男…スライディング男ってこと?wwww」
美咲「そうですよ、さすがお義父さんww」

父「でも1の気持ちも分からんでもないぞww
俺だって許されるなら女子高生の太ももは覗きたい!
だから美咲ちゃん…」

血は争えないらしい。

母&美咲「どっちの味方なのよ!」
父「1の変態さ加減にはほどほど愛想がつきたわ!」

もうやだこの家族。

終始、口撃の矢面にさらされた俺。
やけ酒と言わんばかりに、飲んだくれた俺。
酔っぱらって美咲の太ももにヘッドスライディングしたら頬をぶたれた俺。
諦めずおふくろのお股にヘッドスライディングしようとしたら
「あんたの帰る場所はそこじゃない」と言われた俺。

あれ、俺なにをしに実家に帰ってきたんだろう。

気付けば寝てしまっていたようで翌朝盛大な二日酔いをお見舞いされました。

美咲いわく、寝ているときに一粒の涙を流した俺。

真珠の涙もとい、HENTAIの涙。

さて、二日酔いと戦いながらも昼頃には起きて炎天下の中墓参りに行ったりしてた。
夜になれば地元の祭りがあるらしく、美咲と行くと決めていた。

そろそろ祭りの会場に行ってもいい時間帯だったので美咲を呼ぶ。
返事と共に出てきた美咲はなぜか浴衣姿。

俺「それどうしたの?」
美咲「お義母さんが着てたやつだって!
どう?似合ってる?」
俺「最高にエロい」
美咲「なんか昨日の一件で吹っ切れた?ww」

吹っ切れたとかじゃないんだ。
浴衣は無条件でエロい、これだけは生涯ゆずることはできません。

懐かしい景色を2人で下駄を鳴らしながら歩いていった。
時々、その場所場所の思出話しながら説明すると美咲はすごく嬉しそうで
話してるこっちまで嬉しくなるほどだった。

会場につくとさすがに地元なもんで、
知り合いも結構いて顔合わす度に美咲のことを聞かれたww
三十路も近づけば、若いことが正義となる模様。

いろんな出店を見て回って、子供みたく2人ではしゃいだ。
花火も打ち上がるらしく、会場から少し離れた河川敷で見ることにした。

多少離れた場所なこともあって、人はまばらで会場の賑わいも遠くに聞こえた。

俺「いやあ、疲れた。歳だわ」
美咲「情けないww
それにしても楽しいなあ…」

なぜか泣き出す美咲。
そんな俺が疲れやすいのが嫌かwwww

俺「ど、どした…?」

おろおろするスラ男。
打ち上がり始めた花火。

美咲「スラ男もまだまだだね」

なんのこっちゃ。

美咲「幸せだと泣けるんだよ、ばか」

幸せだと泣けるのか。

俺「加齢臭ですが抱きしめていいですか」
美咲「やだ」
俺「」
美咲「キスして」

キスした、でっかい花火が上がった。
幸せの涙はしょっぱかった。
最高にロマンチックな瞬間だった。

美咲「唐揚げくさい」

ロマンチックのロの字もなかった。

花火も終わって、疲れもあり早めに切り上げることにした。
結局実家にもう1日だけ泊まって帰ることに。

なぜか美咲がいた3日間で親父の白髪混じりの頭が真っ黒になったのはなぜだろう。

家に帰ってからは仕事も始まり、相変わらずな日々。
美咲と付き合いだして2年が経とうとしていた。

この頃辺りから、よく美咲が結婚の話をするようになった。
俺も結婚は意識してたけど、どうにも重い腰が上がらず
喧嘩になって美咲を泣かせることが増えた。

なんとなく家に流れる微妙な空気に耐えられず、会社に残ることが増えた。
幸い現場と事務所の関わりはほとんどなく、社内で美咲と会うこともなかった。

確か秋から冬に変わるくらいの時期だった。
上司と飲みに行ってて、家に帰ったのは日付が変わってから。

俺「ただいまー」

…返事がない。
もう寝てるのかと思って、布団を見るもいない。
そもそもワンルームなんだから、探そうにも探す場所がない。

今までこんなことはなかったから少し戸惑いつつも
また朝になれば帰ってくるだろう、くらいにしか考えていなかった。

翌朝になっても美咲は帰ってきてなかった。
さすがに心配になって電話をかけてみるも出てくれない。

結婚の話を曖昧にしてたのが悪かったのだろうかと、自分を責めることしかできなかった。

出社して事務所に確かめるも、休みをとってるとだけしか情報は得られず。
仕事は身が入らないし、心配と後悔でどうにかなりそうだった。

なんとか仕事を終えて家に帰るも美咲は帰ってきてなくて
あとは美咲の実家くらいしか探すところがなかった。

わらにもすがる思いで美咲の実家に向かった。
呼び鈴を押すと美咲姉が対応してくれたが、玄関は開けてくれなかった。

俺「すいません1です。
美咲は帰ってきてますか?」
美咲姉「帰ってきてないよ」
俺「連絡とか来てませんか?」

美咲姉「連絡はきてる。
しばらくはそっとしておいて欲しいって。
だから今日は帰って」

そう言って切られてしまった。
とにかく美咲が無事だと分かって、少し安心した。

もう俺にできることは、待つことしかなくなってしまった。

美咲の実家に行った翌日、明け方ごろに美咲からメールが来ていた。
もうなんかメールを開こうとする手が焦りすぎて手のひらの上で携帯が踊ってた。
内容は、話があるから仕事終わりに駅前に来てほしいとのこと。
正直嬉しいような不安なような微妙な気持ちだった。

仕事を終わらせて駅前に向かう。
前にもこんなことあったなって思い出すと過ぎた月日の長さを実感した。

美咲「よっ、久しぶり、でもないかww」
俺「おう。とりあえず乗りなよ」

意外と美咲はいつもの調子で、少しほっとした。
聞きたいことはたくさんあった。
自分の中で言葉の整理をつけるのに必死だったように思う。

俺「話って?」
美咲「スラ男、最近冷たくなったよねー。
   昔はあんだけわたしに夢中だったのに…ww」
俺「別に昔と変わってないよ」
美咲「なんか距離感感じちゃう」

なんとなく美咲の言いたいことは分かった。
結婚の話をしようとする美咲を煩わしく感じて、遠ざけていた俺がいたのは事実だった。

俺「なにが言いたいわけ」
美咲「もうどうしていいか分かんないんだよねww」
俺「だからなにが…」

しばらく沈黙が流れた。
美咲は深呼吸するとともに一気に話しだした。

美咲「スラ男との子供ができたの。
   2か月ほど生理がこないし体調も悪いし
   まさかと思って検査薬使ったら陽性だった。
   それが分かったのがわたしが出て行った前の日」

ここまでいうとせきを切ったように美咲が泣きだした。
間違いなく俺はうろたえていたと思う。
思いっきり頭を鈍器で殴られたような気分だった。

俺「なんでそれで出て行くわけ。
  言えばいいだろ、隠すことじゃないじゃん」
美咲「じゃあスラ男が結婚のこと取り合ってくれない状況で
   デキたこと言ったらどうしてた?」
俺「もちろん結婚を決めた。
  喜ぶべきことだろ」
美咲「やっぱり…w」

こぼすようにそう言った美咲は、悲しそうに笑った。
もうなにがなんだかさっぱりだった。
美咲がなにを考えていて、なにを伝えたいのか、全然分からなくなっていた。
新しい命が美咲のおなかの中に宿って嬉しいはずなのに、どうして2人で喜ぶことができないのか。

俺「やっぱりってなんだよ」
美咲「結局スラ男にとってはわたしと結婚したいから、じゃなくて
   子供ができたから責任とるって意味での結婚になるわけでしょ。
   嫌じゃん、子供を理由にして結婚を迫るみたいでさ。
   だから言えなかったの、どうしていいか分かんないの」

嗚咽まじりに話す美咲。
こんなにたくさんのことを抱えていただなんて想像もしてなかった。
気付いてやれないのはまだしも、美咲を追いつめていたのは俺だった。

美咲「良くも悪くもスラ男は大人過ぎるんだよ。
   まだ子供のわたしじゃ釣り合わないくらいにね」
俺「そんなこと…」

初めて歳の差のことを意識した。
俺は対等に向き合ってきたつもりが、美咲は背伸びして無理していたのだろうか。

美咲「まあ、ゆっくり考えてよ。
   別にスラ男がどんな答えを選んでも、わたしはこの子は産む。
   それだけはなにがあっても譲れない」

美咲は睨みつけるように俺を見た後、車から降りて行った。
今まで見たこともないような表情だった。

1人になって後悔の念だとか、喜びだとか、事の重大さ
いろんなものが束になって押し寄せてきてパンク寸前だった。

答えは決まっていた。
それなのにどう美咲に伝えればいいのかが分からなかった。

もうどうしようもなくなって、なにを思ったか兄貴に電話をかけていた。
おそらく出ないだろうと思ってるからこそかけれる電話ってあるよね。

案の定出るわけもなく、ほっとした途端に折り返しでかかってきた。

兄「よう久しぶりww」
俺「生きてたんだ」
兄「なんかあったんだろ?」
俺「子供がデキた。
でも結婚の話を前々から渋ってたからこじれてる」

もっと詳しく話したんだけど、かいつまんで書くとこんな感じ。

兄「そもそも結婚なんて勢いでするもんなんだよww
考えちゃうと出来ないぞ!」
俺「兄貴は結婚したことないだろ」
兄「ばかにすんな、気付けば×3だぞww」

だめだ、いろんな意味でこいつ使えない…。
ちなみに内訳は
×1→出稼ぎにきていたフィリピン人(どうやら騙されていたもよう)
×2→還暦の未亡人(死んだ旦那の霊が出たとかどうとか)
×3→美大生(芸術の一環でイチモツを切られそうになったとか)

俺「電話する相手間違えたわ。
生きてる間に適当に親父とおふくろに顔見せてやれよ」
兄「待て!今からいいこと言うから!」

俺「なんだよ」
兄「いや、単純に考えろよ。
好きだから結婚するのか、子供がデキたから結婚するのか」

単純に考えればそうだった。
大事なことをすっかり忘れていた。

俺「さんきゅ」
兄「まあ、頑張りたまえ」
俺「子供が産まれたら帰ってこいよな!」

余談ですがいまだに兄は未亡人の死んだ旦那の霊に苦しめられているそうで
ときどき足をくすぐられるらしいです。
これってお祓い行かすべき?ww

兄貴との電話を終えたあと、すぐに美咲に電話をかけた。
今回はちゃんと出てくれた。

俺「今どこ?」
美咲「家に居る」
俺「すぐに行くから待ってて」

いつもは美咲が先に切る電話を初めて俺が先に切った。
ほんの数分の距離がものすごく遠く感じた。
美咲はマンションの前で待ってくれていた。

俺「家で待ってくれてたら良かったのに。
体冷えると良くないだろ」
美咲「なに父親ぶってんのww」
俺「取りあえず帰るぞ」

人間って不思議なもんで
自分の身の振り方が分かった途端に、態度も変わるもんだと
このときえらく実感した。

久しぶりに美咲が家に帰ってきて、懐かしいような気持ちになった。
美咲はベッドの上に座って、優しい顔して自分のお腹を撫でてた。

俺「今何周目?」
美咲「7週目なんだってさ」
俺「ファミリーカー買わないとな」
美咲「なんの話よww」
俺「その前に引っ越しか。
ワンルームじゃさすがに育てられないよな」
美咲「だから…」

俺も思ってることを早く伝えたかったんだけど
なんだか照れ臭くて、ずいぶん遠回りをした。

俺「結婚しよう。
子供がデキたからじゃない、好きだから。
俺が美咲の居場所になるって言ったから。
今まで答えをはぐらかしてきてごめん」

もう爆発してしまうかと思った。

美咲「たった数日でこの部屋の散らかりよう!
やっぱりスラ男はわたしがいないとだめだねww」

そうなんです、
あなた以外にスライディングをかませる女性は他にはいないんです。

美咲「しょうがない、お腹撫でさせてあげるww」

撫でたところで、まだなにか分かる時期じゃなかった。
でも感じることはたくさんあった。
父親になることを完全に理解した瞬間っていうのかな。

美咲「もうね、赤ちゃんの心臓の音聞こえる時期なんだよ!
今度一緒に検診行って聞こうね」

美咲が話すすべてが新鮮で、今までの気まずさだとかが嘘のように吹き飛んでいた。

妊娠が分かってから、1日1箱以上吸ってた俺がスパッと煙草をやめることができた。
もう禁煙して4年目、不思議と吸いたいともまったく思わずこれた。

つわりで辛そうな美咲のために、なにか少しでも多くのことがしたかった。
仕事もなるべく日勤の定時で上がれるように。
いろんな本を買いあさって、あーでもないこーでもないと言ってみたり。

それでも検診のときに、毎回成長する姿を見せてくれる我が子が1番の励みだったし
不安を吹き飛ばしてくれた。

美咲が落ち着いてきた(16、7週目あたりから)のを期に
決めていた物件への引っ越しの準備を始めた。
物はそんなに多くなかったんだけど友も手伝ってくれて、本当にすぐに終わった。

友「しかしお前らが結婚までするとはなあww」
俺「お先にいかせていただきますww」
美咲「お腹も気持ち出てきたんだよ!」
友「まあ、ファーストスライディングは俺だけどな!
なんか感慨深いよww」

そう、あくまでも美咲のファーストスライディングはこいつなのだ。

ちょっと悔しかったのは内緒だwwww

引っ越しをする日、俺の両親も田舎から出てきてくれて、てんやわんやの大騒ぎだった。
やっぱり初孫っていうのは嬉しいもんらしいね!
一応美咲姉にも報告すると、一言「おめでとう」と言ってもらえた。

母「こんな若い子がお嫁さんになってくれるなんて…」
父「美咲ちゃんほんとにいいの?
おじいちゃん、まだ美咲ちゃんのこと待ってるよ?!」

待つな待つなwwww

美咲「お義父さんがスライディングしてくれてたらなあww」

父「おk、ちょっとスライディングしてくるww」
母「そういえば最近熟年離婚って流行ってるらしいわねえ」

蛇に睨まれた蛙のような父。

妊娠して半年が経ってから驚くほどに母体も胎児も目に見えて成長していくのが分かった。
すっかり美咲のおなかは目立つようになり、細い体にはアンバランスに見えた。

美咲「最近おっぱい張ってきたー」
俺「え?もう出るの?ww」
美咲「なんでそんな嬉しそうなのwwww」
俺「そりゃ男の夢でしょう!」

まあ、まだ出なかったんですけどね、はい。

これは明確に覚えているんだけど、26週目のこと。
仕事から帰ってきて晩飯が出来るのを待ってる時だった。

美咲「あっ!」

包丁で指でも切ったかと思い台所に様子を見に行った。

俺「どうした?」
美咲「やばい」
俺「なにがだよww」

とりあえず指は切っていないみたいで、一安心。

美咲「赤ちゃんが動いた!」
俺「まじか?!」

すぐさまお腹に耳を当てた。
しかし気まぐれな赤ちゃん、まったく音沙汰なし。
この先も結構な頻度で美咲のお腹に手は当てるんだけど胎動を感じたことのない俺。
生まれる前から子供に嫌われてるような気がしてパパ切なかったよww

37週を過ぎてから週1回の検診になるんだよね。
ちょうど37週めの検診で出産予定日の確認をとり9月の某日になるだろうとのこと。
その2日後のことだった。
8月のバカみたいに暑い日で、熱中症になりそうな中仕事をしていた。
昼前に携帯が鳴って見てみると美咲から。

俺「なんかあった?」
美咲「スラ男、お腹がイタイヨ」
俺「なぜ片言?」

かかりつけの先生から前駆陣痛たるものが存在することを聞いていたので
たいして焦ってはいなかった。
ちなみにこの時にはもう美咲は産休をとって家におりました。

美咲「もうちょっと待ってみる?。
   やばそうだったらまた電話する!」
俺「了解」

焦ってはなかったけど、余裕があったわけじゃない。
いつ携帯が鳴ってもいいように全神経を携帯に集中させていた。
おかげで不良をいくらか出して上司に怒られたよww

一応昼休みにおふくろに電話して、もしものときに必要なものを聞いておいた。
確か15時回ったころだったかな、また美咲から電話があった。
さすがにもう覚悟したww

美咲「お腹痛いよー、まだ10分間隔じゃないけど…」
俺「うーん…病院行くか?今から帰ろうか?」
美咲「あっ!」

もうこの時ほど「あっ!」という声に驚いたことはないww
もしかして出てきちゃった?とかあり得もしないことまで考えだすんだからww

俺「な、なに?!」
美咲「破水した…」
俺「今から帰る!病院にも連絡していくから準備だけしといて!」

上司にその主旨を告げて早退させてもらうことに。
唯一零細で良かったと思った瞬間だよww

そして帰り際、あたふたする俺を見た友が一言。

友「大丈夫!スラ男の子ならスムーズに滑り出てくるよ!」

やかましいわ。

家に迎えに上がると案外美咲はけろっとしていた。

美咲「お帰りー、早かったね!」
俺「まだ全然大丈夫な感じ?」
美咲「陣痛の間隔もまだ長いしねー、でも前期破水には驚いたww」

とりあえず美咲を病院に送って診察を受ける。
赤ちゃんも早くパパとママに会いたいんだねー、と先生の一言にものすごく安心した。
どっかのだれかとは大違いだ。wwww

やっぱりまだ陣痛の間隔が長いこともあり
部屋だけ案内してもらってゆっくりしてくださいとのこと。
とりあえず俺もいったん家に帰って、おふくろから聞いたものと
美咲が必要だと言った荷物を持ってくることにした。

なんていうのかな、
期待と不安が混じり合ったこの時の感覚は後にも先にも感じれないと思う。

荷物を持ってきてからも美咲はあっけらかんとしていて
なんか溜まりに溜まったガス抜きをされたような気分だった。

だんだんと陣痛の間隔も短くなってきて、10分間隔になったんだけど
ここからが長かった。
確か9時間くらいこんな状態でうとうとしては目を覚ましての繰り返し。
美咲いわくこの状態が1番精神的に辛かったらしい。

そして陣痛の間隔が5分ほどに、1?2分ほどに、と短くなるにつれて
だんだんと口数も減りいきもうとしだした。
俺に出来ることはと言えば、汗ふいてあげて話しかけることくらい。
男とは無力なもんです。

そして分娩室に移ることに。
立ち会いはもともと希望していたので俺も一緒についていった。

もうね、男から見るとそこは地獄絵図でしかなかったww
出産は聖なるふじこふじこ…。

痛みに顔をゆがめる美咲、ただつっ立って見ることしかできない俺。
かろうじて手を握ってるくらい。
なんだかあまりにも目の前に広がる光景が壮大過ぎて
俺がかける言葉すべてが軽薄に思えちゃったよww
美咲自身も
「え?スラ男話しかけてくれたっけ?痛いのしか覚えてないww」ってな調子だしね。

時間が経てば経つほどどうしようもないくらい苦しくなった。
呼吸もしずらくなってたような気がする。

先生「頭出てきたよー!お母さん、もう少しだからねー!」

美咲の悲鳴のような声と、助産師さんの声が行き交うなかで
この一言だけは妙に耳に残ったことを覚えてる。

先生「もう出てくるよー、頑張ってーほら出てきた!」

そう言うと助産師さんが赤ちゃんを取りあげてくれた。

あれ…泣かないんですけど…?
うろたえる俺を傍目に助産師は、赤ちゃんの口に細い管を入れだす。
なに?大丈夫なの?

「おぎゃあああ!」

どうやら喉につまった水を吸い出していたもよう。
赤ちゃんって出てきてすぐに泣くもんじゃないんだね。

俺「美咲?!」
美咲「ね、眠たい…」
俺「ほんとにお疲れさま!」
美咲「スラ坊の誕生に立ち会えましたねww」
俺「待て、それは教育上よくない」

このスレ内ではスラ坊と呼ぶことにしますが
実際はDQNネームでもなんでもなく普通の名前だからなwwww

8月某日、スラ坊が誕生しました。
43cm、2460gと少し小さめながらも確かに出産を終えた美咲の腕のなかで呼吸していた。

病室に戻ると親父とおふくろが来ていた。
フットワーク軽すぎワロタww
スラ坊は新生児室に居たので、案内してあげると舐め回すように見ていたww

そして10分ほど舐め回したのち病室にまた戻る。

母「美咲ちゃん、ほんとにお疲れさま!」
美咲「ありがとうございます!」
父「美咲ちゃんもお母さんになるのかあww
あ、おじいちゃん子供がいても全然気にしなry」
母「あなた、これ離婚届。
判押すだけでいいから」

記入済みの離婚届をちらつかせる母。
毎回この夫婦は仕込みをしてるのだろうかと思う。

スラ坊が産まれてから3年が経った。
大きな怪我も病気もすることなく育ってくれて、今でもその成長の早さに驚かされてます。

わたくしことスラ男は32となり、中年街道まっしぐらでございます。
最近ほんとに加齢臭がするらしいww

美咲は相変わらず若く、職場復帰も果たし子育てとの両立を頑張っております。
たまに今でもスラ坊の前でスラ男と口を滑らすけどねww

そんな今月の昼下がり、仕事をしてる俺のもとに美咲がきた。

俺「どうした?」
美咲「スラ坊が怪我したって…
保育所の先生が○○病院に連れていってくれてるから
スラ男行ってきて!」

病院に行くほどの怪我なのかと思いつつ、会社を抜けて病院に向かう。

病院に行ってみると、玄関口で先生が待ってくれていた。

俺「スラ坊は?!」
先生「今、治療してもらってますので…」

診察室に行ってみると額にガーゼをあてたスラ坊。
口の中も切ってるようで、口を気持ち悪そうに気にしてた。
怪我自体は大したこともなく、そのまま連れて帰っていいとのこと。

俺「ご迷惑おかけしました。
なんでこんな怪我したんですか?」
先生「なんか…

床に頭からスライディング?の格好で滑る遊びをしてたら
壁の角にぶつけちゃったみたいで…」

俺「」

もうね、絶句。

なんで顔を前に向けて滑ってんだよ。
顎にも擦り傷できてんじゃねえかwwww

今回この一件があって、昔のことを思い出してスレを立てたんだww
ようはスライディングは遺伝する、と。
スラ坊の将来が心配になったよww

結婚式は?というレスがありましたが
最近家を買ったため、ローンの返済に終われ当分出来そうにないです。
稼ぎが少ないもんで…。

ちなみに兄貴は今アメリカの田舎の農場にいるそうです。
やっと永住の地を見つけた、と言っていたので
しばらくはアメリカにいるのかな、と。

親父とおふくろは相変わらずで、夫婦漫才を繰り広げておりますww
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